1万円の寄付でお米20kgがもらえるなど、お礼を通して地域の魅力を知るふるさと納税。2015年4月より、適用条件を満たせば確定申告不要となるなど更にハードルが下がりました。
ふるさと納税ってそもそもどんな仕組み?
ふるさと納税は、正式名称は「ふるさと寄附金」と言います。「納税」という言葉を用いますが、実際は税金を支払うわけではなく、税制上、寄附金控除が適用されます。寄付を行うと、寄付金額から2,000円を引いた分がその年の所得税と翌年度の住民税から控除されます。(控除上限額は家族構成などによって異なります。)
地方自治体へ寄付をすることで、お礼品としてその地域の特産品・名産品などを貰えます。寄付をする自治体は、ご自身の出身地や縁のある地域だけではなく、好きな地方自治体を選ぶことが可能です。
対象期間は1月1日~12月31日までとなり、平成28年分の所得税(住民税は平成29年分)より控除を受けるには、年内に寄付をする必要があります。支払方法は、クレジットカード・コンビニ決済・月々の携帯電話料金と合算、などご自身に便利な手段を選択することが可能です。
しかし、会社で年末調整を行ってくれるため、確定申告がそもそも不要な会社員の方にとっては、この確定申告が、「ハードルが高い」「面倒くさい」と思われがちでした。そこで、2015年4月分の寄付より、「納税先の地方自治体が5つ以内」などの条件を満たせば確定申告不要となる、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が開始され、ふるさと納税を始める方がいっそう増えました。
ふるさと納税ワンストップ特例制度とは?
ふるさと納税ワンストップ特例制度とは、特定の条件を満たす方は、確定申告不要でふるさと納税が行える、という制度で、2015年4月からの寄付が対象となります。
特定の条件とは、下記の2つです。
- ・会社員など、他に確定申告をする必要がない
※寄付のお申し込み後に確定申告が必要となった場合は、「ワンストップ特例制度」は受けられません。確定申告の際に寄付金控除も合わせて申告が必要です。 - ・1年間の寄付先が5か所(5自治体)以下である
※複数回寄付をしていても、同一の自治体であれば、カウントは1となります。
上記の条件を満たす方は、寄付を行う地方自治体へワンストップ特例申請書を提出すれば、自動的に住所地の市区町村へ連絡がいき、翌年分の住民税から減額されます。
住民税からしか控除がされないので、ワンストップ制度を利用すると損をするのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本来所得税で適用される分も含めた控除額が翌年の6月以降に支払う住民税から引かれるため、ワンストップ特例を利用すると損をしてしまう、ということはありません。
※2016年分より、寄付先によってはマイナンバーの提出が必要な場合もあります。
詳しくは寄付後の受領書に記載のワンストップ特例制度申請方法の通知を参照するか、寄付先の自治体へお問合せください。
ワンストップ特例制度を利用する際の注意点
ワンストップ特例制度は、確定申告をしないことが前提となっています。ワンストップ特例の申請をした後に確定申告が必要になってしまった場合も、ふるさと納税の分もすべて含めて確定申告をしないと、ワンストップ特例の申請は無効となってしまいますのでご注意ください。寄付先が6か所以上ある方も、6か所目以降のみではなく、すべての寄付に関して確定申告が必要です。
また、医療費控除、ふるさと納税以外の各種寄付金控除、住宅ローン控除(1年目のみ)等の各種控除を受けたい方、株式投資関連で損益通算や譲渡損失の繰越をしたい場合も、確定申告が必要です。
ふるさと納税でかしこく節税するには
寄付金控除の上限額は配偶者の有無、子供の有無などの家族構成によって異なります。総務省のふるさと納税ポータルサイトより、年収や家族構成等を入力するだけで、簡単に控除額の試算が可能な表をダウンロードできます。まずは自身の控除上限額を調べ、いくらまでの寄付であれば節税になるのかを確認してみてください。
ふるさと納税で日本を元気に!
ふるさと納税という制度の設立には、“生まれ育ったふるさとへの恩返し”の想いが込められています。地方から都会へ出てきて仕事をしている方が納税をするのは、現在住んでいる場所になってしまうからです。
納税者自身が寄付先を選択できることで、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分事としてとらえることができるきっかけともなります。
反対に自治体側も、国民全体へ取組をアピールする機会が与えられることで、自治体間の競争が進み、納税者も自治体も相互に高め合っていく関係を築くことが可能です。
特産品をお取り寄せする感覚でもいいですし、今年の九州の地震のような被害のあった自治体に寄付をすることも可能です。まずは1万円くらいから、はじめてみてはいかがでしょうか。