今回はシンガポールでの法人税の目玉であるPICスキームについてお話したいと思います。
PICとは、簡単に言うと国が投資を促進させたい分野について税制の優遇を設けている制度です。
制度の概要
オートメーション機器の購入およびリース、研究開発費、デザイン開発、従業員の研修費、無形資産の取得費用など6つの活動に係る費用について、その対象支出額につき①400%損金算入もしくは②60%補助金交付が受けられる制度となります。ただし、400%損金算入は各活動につきS$400,000/年を限度とし、60%補助金交付は6つの活動合計でS$100,000/年が限度とされています。なお、60%補助金を受けるためには、3人以上のローカル従業員の採用などの要件を満たす必要があります。
内容
具体的には、まず下記2つの方法のうち有利な方を選択することになります。
①400% tax deduction・・・購入金額の4倍の金額の損金算入
②Cash payout option・・・購入金額の60%のキャッシュバック
①は購入金額の400%まで償却をとれる(最大S$1.6million、1年S$400,000まで※1)
②は購入金額の60%のキャッシュバックが受けられる。(最大S$100,000まで)
課税所得が発生するのか、どのくらい課税所得が発生するのかなどによって有利、不利が変わってきます。例えば、赤字の場合には①を選択しても損が増加するだけなので、②を選択する方が有利となってきます。ただし、近い将来に多額の所得が見込まれるときは、検討が必要です。
次に提出期限ですが
①は税務申告時に合わせて出せばOKです。
②は四半期ごとに提出が可能です。
また、同制度は、YA2015(※2)までの時限立法でしたが、さらに3年間延長されYA2018までこれまでと同様の条件で適用が延長されました。
コンピューターや機械の購入も対象となるため、活用されている中小企業も数多くいらっしゃいます。是非、ご検討ください。
日本もこのぐらいの大胆な政策が必要かもしれませんね。
※1 中小企業については1年S$600,000への増額改正が2014年の予算発表で行われました。
※2 YAはYear of Assessment(賦課年度)となり、シンガポールでは会計年度の翌年となります。
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