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賃貸経営の新たな視点、民泊事業への対応

記事作成日2018/09/11 最終更新日2018/09/11

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◆アパートなの? ホテルなの?

 アパートメントホテルをご存知でしょうか。アパートとホテルがひとつになった建物のことではありません。旅館・ホテル営業の許可に基づき、宿泊サービスを提供できるようにしたアパートやマンションのことを言います。建物の間取りなどはアパートやマンションと同等であるため、通常ホテルにはないキッチンや洗濯機が居室(客室)にあります。そのため中長期間滞在する旅行者や出張者に人気です。一方ですでにマンスリーマンションという形での賃貸マンションが存在していますが、今までは旅館業法の問題等があり、短期間での賃貸借ができませんでした。「月単位での契約では長過ぎる」という旅行者や出張者には、不向きな賃貸マンションだったのです。

◆民泊新法の施行と旅行業法の改正

 2018 年6 月15 日、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行と旅館業法が改正され全国的に民泊が解禁されましたが、この動きに合わせてホテル業も行えるアパート経営というスタイルが可能となりました。旅館業法で許可を取るのか、民泊新法で取るのかで建築基準法上の扱いが変わりますが、例えば、マンスリー契約の間で生じた空室期間をホテル・旅館業にて対応するなどの自由度が増した形となります。ホテル・旅館業として成立する地域であれば、立地や稼働率にもよりますが、通常の賃貸借契約(2 年間)や、マンスリー契約とは比較にならない程の貸室収益が見込めます。これから賃貸マンションや賃貸アパートを建設または購入される方は、この「旅館・ホテル営業が成り立つかどうか」という視点を検討材料に加えてみてはいかがでしょうか。また、民泊活用としてのホテル事業の需要が将来縮小された場合に備えて、賃貸マンションとしても活用可能な間取りや建物計画にしておくという目線も重要です。これからは賃貸経営と民泊、旅館事業との両面活用が可能となってきましたので、建築計画や改修計画においては先々を見越したプランの検討をおすすめいたします。

◆空室期間の活用策として

 民泊新法による住宅宿泊事業では、届出を行った住宅に対して旅館業法の適用を受けずに宿泊サービスを提供できることを基本としますが、年間180 日までの営業制限や、自治体によってはさらなる制限があります。高い宿泊ニーズも重要なため、空室期間の活用策と考えたほうが良いと思われます。民泊活用期間以外は一般の賃貸借契約となりますので、契約期間が明確な定期借家契約での賃貸借契約を締結することになります。ホテルや旅館業を営めるような消防設備、建物構造、水周り設備等を準備しておくことは、転ばぬ先の杖とも言えるのではないでしょうか。


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