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在留資格 ②経営・管理について

記事作成日2016/02/04 最終更新日2022/02/03

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今回も外国人が日本で就労する場合に必要となる主な在留資格の一つである「経営・管理」について解説します。

在留資格「経営・管理」とは

在留資格「経営・管理」は、外国人が日本において貿易その他の事業の経営を行い、またはその事業の管理を行う場合に取得する在留資格です。該当例としては、企業の経営者や管理者などです。「技術・人文知識・国際業務」は雇用契約を締結している外国人従業員などが取得する在留資格ですが、「経営・管理」は代表取締役、取締役など会社の役員として就労する外国人が取得する在留資格です。ただし、事業内容として弁護士資格や公認会計士資格など法律上資格を有する者が行うこととされている事業は除きます。

平成26年改正(平成27年4月1日施行)以前、「経営・管理」は「投資・経営」という名称でした。同年の改正前、外国人が事業の経営、管理を行うことができたのは外資系の企業に限られていました。企業の経営・管理活動に従事する外国人の受け入れを促進するため、同年の改正で対象を外資系企業だけでなく、日系企業における経営・管理活動まで拡大されました。

在留期間は、5年、3年、1年、4月又は3月です。4月という在留期間が定められているのは「経営・管理」だけです。

 在留者数、上陸者数について

入管協会が公表している統計資料によると、在留資格「経営・管理(投資・経営)」での新規入国者数は平成21年以降、毎年800人台を維持していましたが、平成25年は632人でした(対前年増減率△22.9%)。平成25年末現在、「経営・管理(投資・経営)」での在留者数は1万3,439人であり、専門的・技術的分野での就労を目的とする在留資格での在留者に占める割合は6.6%です。

 許可要件について

「経営・管理」の在留資格が許可されるためには、以下の①から③までの要件を全て満たす必要があります。

①申請に係る事業を営むための事業所が日本国内に存在すること。事業が開始されていない場合、事業所として使用する施設が日本国内に確保されていること。

上述のように、以前は外資系企業に限られていましたが、平成26年の改正により日系企業も対象となりました。また、事業の開始前であっても申請を行うことができます。

②事業の規模が次のイからハのいずれかに該当していること。

イ.在留資格「経営・管理」を申請する外国人以外に、二人以上の常勤職員が従事して営まれる事業であること。
ロ.資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
ハ.イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。

イ.の「二人以上の常勤職員」という要件については、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の在留資格にて在留する者であれば、外国人でも満たすことができます。

③申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営又は管理について三年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

実務経験は、事業の管理の場合のみに要件となり、事業の経営の場合には求められません。

 申請手続きについて

「経営・管理」の在留資格で外国人が日本への入国・在留を希望する場合、既に日本に事業所が存在し事業を行っているのであれば(日本で既に営まれている事業に役員として参画するようなケース)、その事業所に属する者を通じて在留資格認定証明書交付申請を行うことができます。

外国人がこれから日本で会社を設立し事業を行おうとする場合、4ヶ月の「経営・管理ビザ」にて入国・在留し設立業務を進める方法も取り得ますが、実務的には「短期滞在」等の資格にて入国し、その間に事務所の賃貸借契約の締結や会社設立を行った上で、日本に在留中に招聘者を本人とする「経営・管理」での在留資格認定証明書交付申請を行うのが一般的といえます。

 必要書類について

外国人が所属することになる機関は、その状況により「カテゴリー1」から「カテゴリー4」に分類され、申請の際に必要となる書類もこのカテゴリーによって異なります。

「カテゴリー1」(日本の証券取引所に上場している企業や、保険業を営む相互会社、地方公共団体、独立行政法人等)の場合は、①在留資格認定証明書交付申請書、②写真(縦4cm×横3cm)1枚、③「カテゴリー1」に該当することを証明する文書(例:四季報の写し等)、④返信用封筒1通のみで足り、その他の資料は原則不要です。

「カテゴリー2」(前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人)及び「カテゴリー3」(前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人)については、上記の書類に加えて前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)が必要となります。

さらに、「カテゴリー3」及び「カテゴリー4」(カテゴリー1~3のいずれのカテゴリーにも該当しない団体・個人)については、役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録、関連する職務に従事した機関並びに活動の内容及び期間を明示した履歴書、不動産登記簿謄本や賃貸借契約書、事業計画書の写しなど多くの書類の提出が求められます。設立間もない会社は「カテゴリー4」に分類されます。

詳しくは、下記リンクの法務省ホームページもご覧下さい。

法務省ホームページ

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