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シンガポールの就労ビザについて その3【TOMAシンガポール支店 公認会計士駐在の会計・税務事務所】

記事作成日2015/10/21 最終更新日2017/01/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

前回に続き、日本法人の方がシンガポール子会社や支店等で就労する場合に取得する、就労ビザについてお話をします。なお、本ブログ上、日本円で表示している金額は、1SGD(シンガポールドル)=85円で換算した金額を記載させていただきます。

 

【Employment Pass(エンプロイメント パス)の発行を受けるためには】

Employment Passの申請にあたり、シンガポール当局が重視しているのは、下記の6つの要素であるといわれています。

EP審査は、AからFまでの要素を総合的にバランス化して判断しますので、個々の要素を満たさないからといって、ただちに審査が通らないということはありません。

説明の都合上、前回に続き再度掲載します。

A 月収(Salary)

B 学歴

C 職歴

D 雇用するシンガポール法人の資本金金額

E 雇用するシンガポール法人のシンガポール人雇用人数(ビザ更新時)

F 雇用するシンガポール法人の売上(ビザ更新時)

 

 

C 職歴

実際のビザ発行状況では、5年以上の職歴があれば、ビザが取得しやすくなっています。

なお、5年程度の職歴の方での就労ビザ取得の実例では、月収4,500SGD(382,500円)程度の給与であることがおおく、職歴が長くなればなるほど、求められる月収の金額を上昇する傾向があります。職歴と給与は関連しており、職歴や実務経験にふさわしい給与額であることがポイントとなっています。

 

ちなみに、シンガポール法人の平均給与を見ると、実務経験8年程度の大企業の営業・総務・経理マネージャーで月収8,000SGD(680,000円)前後となっているケースがあります。中小企業ではこれより低い給与額となりますが。一つの目安として考えていただければと思います。

 

直近の動向としては、マネージャーとして就労する外国人を中心に、就労ビザを発行しているようです。これは、今まで駐在員が経験してきたスキルをシンガポール人に承継して欲しいという思いがあるためと推測されています。

 

このため、シンガポール行政としては、取締役就任予定者など役職の高い人については、就労ビザの発行を嫌がっている傾向があります(それでも居住取締役の要件を満たすために申請をしなければならないシンガポール法人も多いのですが)。

 

シンガポール行政としては、Employment Pass(エンプロイメント パス)の発行を少なくしたいため、役職の高い人の発行を渋ることによって、その目的を達成しようしているように見受けられます。

 

D 雇用するシンガポール法人の資本金金額について

シンガポール会社法によると、資本金1円でも設立することが可能です。しかし、就労ビザを取得する場合には、少なくとも100,000SGD(8,500,000円)の資本金がなければ、当該ビザが発行されないケースがほとんどです。なお、駐在員事務所や支店設置の場合は資本金という概念がないので考慮外となります。

 

100,000SGDの資本金で当該ビザ1名分発行、増資すればビザ発行人数が増える余地があります。なお、駐在員事務所や支店は、1名ないし2名程度の発行にとどまっています。

 

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