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「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い」の公表 【TOMAシンガポール支店 日本公認会計士駐在の税務会計事務所】

記事作成日2017/04/18 最終更新日2018/06/06

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

今回は、マイナス金利と退職給付会計の取扱いで、平成 29 年 3 月 29 日に 企業会計基準委員会より発表された実務対応報告についてお話をします。

なお、本ブログでは過去にマイナス金利と退職給付引当金について、数回にわたり取り上げています。下記のブログもあわせてご覧ください。

マイナス金利と退職給付引当金 その1 Negative Interest Rate and Retirement benefits liabilities. Part 1【TOMAシンガポール支店 公認会計士駐在の会計・税務事務所】

【実務対応報告の内容】

退職給付債務等の計算において、割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りが期末においてマイナスとなる場合、

・利回りの下限としてゼロを利用する方法(ゼロレート適用)

・マイナスの利回りをそのまま利用する方法(マイナスレート適用)

のいずれかの方法によるとしています。

また、適用時期 は平成 29 年 3 月 31 日に終了する事業年度から平成 30 年 3 月 30 日に終了する事業年度まで適用するとしています。

詳細は、財務会計基準機構のWeb サイトをごらんください。(著作権などの都合でリンクを貼ることができません)

【本実務対応報告の特徴】

筆者が分析した結果、本実務対応報告の特徴は下記の3点です。

1点目は、ゼロレート適用、マイナスレート適用について優劣を示していない点です。

どちらでも適用可能とし、かつ、今回の報告では理論上どちらがあるべき姿かどうかは明記していません。実務対応報告の中に「結論の背景」という箇所があり、今回の結論に至った背景が書かれていますが、理論上どちらが正しいという記載がありません。

2点目は、選択の変更についての記載がない点です。

実は昨年も同様の発表があり、ゼロレート適用、マイナスレート適用のいずれかを選択できました。このため、昨年度はマイナスレート、本年度はゼロレートを選択するということも考えられます。しかし、この点については、会計方針の変更として扱うのか、見積りの変更として扱うのかという点に触れていません。

3点目は、本実務報告の適用は「追加情報」で開示することが可能な点です。

「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い(案)」に対するコメント19)において、マイナス利回りを適用しても、ゼロ止めを利用しても、注記事項において利用している率を記載すれば足りる旨が示されています。

より情報開示したい場合は、追加情報として記載する旨も示されています。

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