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税務調査の際に注意したい源泉所得税とは

記事作成日2020/03/24 最終更新日2021/09/07

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税務調査の際、「源泉徴収」は特に目を付けられやすい項目の1つです。この記事では、「源泉所得税の基礎知識」や「税務調査でどのような点を見られるのか」を詳しく解説していきます。

源泉所得税とは

源泉所得税とは、会社が従業員の代わりに納税するため、所得から徴収した税金のことを言います。

現在、日本国内の雇用者数はおよそ6,000万人に上ります。この膨大な人数の納税を、役所が個別に対応していたら時間がいくらあっても足りません。このような効率の悪い混雑を避けるために、源泉徴収と呼ばれる方式が採用されています。

企業が毎月従業員の代わりに税金を納付することで、社員は自分で役所に出向く必要がなくなり、役所は一人一人の対応に忙殺されることもなくなります。双方に親切な方式だと言えるでしょう。

しかし、源泉所得税は税務調査において、重点的にチェックされやすいポイントになっているので経営者の方は注意が必要なのです。

税務調査の際に源泉所得税のどのような点を見られるのか

税務調査では企業の様々な点について調査されます。その中でも、細かくチェックされる項目の1つが「源泉所得税」です。それでは、源泉所得税のどのような点を見られるかを、以下から解説していきます。

非課税限度額を超える通勤手当

通勤手当は非課税のイメージが強いのですが、定められた限度額を超えると課税の対象に含まれます。さらに、平成28年度から限度額の引き上げが行われたのでさらに思わぬミスが発生するかもしれません。

例えば、「交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当」は平成28年以降、「1か月当たりの合理的な運賃等の額」の上限が100,000円から150,000円に引き上げられています。

支給した通勤手当だけでなく、従業員が会社に伝えている通勤距離が正確かどうかも確認するといいでしょう。

年末調整の計算や書類の記載は正確か

年末調整において、申告・納税の義務を負っているのは雇用主です。したがって、

・給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書

・給与所得者の保険料控除申告書

・給与所得者の配偶者控除等申告書

・住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除)

などの申告書をもとに、税額の再計算を行います。しかし、これらの申告書を作成するのは従業員なので、申告書の内容に不備がある場合が少なくありません。

税務調査によって申告書に書かれている内容が適正でないとされ、記載者本人がそれを認めると、年末調整をやり直すことになります。また、不足分を納付するにあたって、延滞税の追徴を受けることにもなりますので、申告書の記載が正しいかどうか、年末調整のときには特に気を付ける必要があります。

経費の中に給与所得として課税すべきものは含まれていないか

税務調査で厳しく調べられるのが、経費科目に含まれている支出に経費性が認められるかどうかです。経費として計上されているものの経費性がないと判断された場合、会社が従業員に給与を与えたこととみなされ、源泉徴収税額が高くなります。

例を挙げると、以下のようなことです。

・個人的な旅行や交通費を会社が支払った

・個人的な飲食費を交際費として経費で落とした

経費科目の内容に不適切な支出がないか、確かめておきましょう。

報酬料金の源泉徴収漏れはないか

会社で雇っている従業員のほかに、仕事を依頼した先の個人事業主などに対する報酬料金にも源泉徴収を行わなければいけません。例えば、以下のような職種が挙げられます。

・税理士
・弁護士
・デザイナー
・ライター

これ以外にも多くの個人事業主に対して、報酬を支払うケースがあるかと思います。定期的に仕事を依頼している場合よりも、不定期で依頼し、報酬を支払っていると源泉徴収漏れが起こりやすくなり、税務調査で指摘されやすいので注意しましょう。

退職金についての源泉税額の計算は適正か

退職金も「所得」とみなされるため、源泉徴収の対象になります。基本的には、退職金の20.42%を源泉徴収する必要があるのですが、退職金には所得税の負担が重くなりすぎないよう、軽減措置が設けられています。「退職所得の受給に関する申告書」が提出されていれば、勤続年数に応じて退職所得額が控除されるのです。

退職金に対して、所得額控除の計算が正しくされているか、税務調査で調べられるので気を付けましょう。

まとめ

ここまで、源泉所得税に関する基礎知識と税務調査で調べられやすいポイントを紹介してきました。今回紹介した点以外にも、税務調査で指摘されることも十分にあり得ます。

複雑な処理や判断もあるかもしれませんが、指摘された後の手続きが加わると、より煩雑になりますので、うやむやにせず正確な源泉徴収を心がけましょう。

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