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税務調査における質問検査権とは

記事作成日2020/03/24 最終更新日2021/01/22

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税務調査が行われるときに、よく耳にする言葉の一つに「質問検査権」があります。資料の開示を求められた際に、調査官から「質問検査権がありますので」と言われたことがある方もいるのではないでしょうか。

一般の人にとっては、あまり馴染みのない「質問検査権」という言葉。具体的にどういった意味なのか、詳しく解説していきます。

■質問検査権とは

質問検査権とは、調査官が税務調査に入るために、与えられている権利です。質問検査権は法律で定められているもので、税務職員が「必要である」と判断した場合、会社に対して質問をしたり、資料の提供を求めたりできると認められています。

税務調査が行われている最中には、担当者から「こちらには質問検査権がありますので」と言われるケースがあります。調査にあたっている税務署員は、この言葉で「私たちには、調査を行い資料の提供を求める法的根拠がある」ということを示しているというわけです。

■質問捜査権拒否できる?

質問検査権の内容について知ったときには、その効力の大きさに驚く方も多いのかもしれません。しかも基本的に、この質問検査権を拒否することはできないのです。

とはいえこれは、「税務署員の言うことを全て聞き入れなければならない」というわけではないので、安心してください。

質問検査権は、税務署員の物理的強制行為を認めてはいませんし、たとえ調査対象者が「拒否」をした場合でも、この原則は当てはまります。ただし納税者には、自発的に質問検査権の行使に応える義務があるとされていて、できる限り、税務署員の要望に応えることが望ましいとされています。

たとえば、税務署から通知された税務調査日程が、やむを得ない事情により受け入れられないケースを例に、考えてみましょう。この場合、税務署員の「質問検査権」を使って、強制的な調査を行うことはできません。ただし調査対象者には、質問検査権の行使に応える義務がありますから、日程を調整した上で、調査を受け入れる工夫が必要となります。

何らかの資料の開示を求められた場合も、該当部分以外を見せたり、持ち帰らせたりする必要はありません。パソコン内のデータについても、同様のことが言えます。

税務署員から提示された部分を印刷した上で、書面として提出すれば、納税者としての義務はきちんと果たせています。質問検査権の意味や目的をきちんと把握した上で、適切な対応を心掛けてみてください。

■質問捜査権を拒否するとどうなるのか

基本的に質問検査権を拒否することは「できない」とされています。拒否したとしても、税務署員が物理的な行使に出ることは認められていませんが、罰則規定に準拠し、処分される可能性があります。

国税通則法により、正当な理由がないにも関わらず、資料の提示や提出を拒むほか、虚偽の記載をした帳簿書類等を提示・提出した場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられるという罰則が定められています。

とはいえこちらは「正当な理由がないにも関わらず」という、条件付きの罰則となっています。提示や提出を拒む正当な理由があれば、この罰則規定には当てはまりません。先ほどの「調査に必要ない部分のデータの提出を求められた!」という場合でも、断るのは当然のことで、「正当な理由」に当たります。

また国税庁のホームページにおいては、「この罰則をもって強権的に権限の行使を行うことは想定していない」と明記されています。罰則規定は定められていますが、よほど悪質なケースではない限り、こちらが適用されることはないでしょう。何らかの書類の提示・提出が必要なときには、税務署員がその趣旨を説明し、納税者が納得した上で、承諾を得て行うこととしています。万が一「質問検査権があるから」という理由のみで、全ての書類を開示するよう求められた場合には、「正当な理由」のもとに、拒否して問題ありません。

■まとめ

質問検査権は、税務調査の法的根拠となるもので、私たち納税者も、それについてきちんとした知識を身につけておくことが必要です。安心して税務調査を受けるためにも、ぜひ今回紹介した知識を、頭に入れておいてください。

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