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税務調査で交際費が注視される理由とは

記事作成日2020/03/24 最終更新日2021/01/22

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税務調査の際に、必ずと言っていいほどチェックされる科目として知られている交際費。

交際費と聞くと、取引先との接待ゴルフや飲食費用、お歳暮・お中元などの贈答品の購入費用をイメージする方も多いかもしれません。

そのイメージは確かに合っているのですが、それが全て交際費として計上できるかと言えば、そうとも言えない部分があるのです。

こちらでは、交際費に関して定められているルールについて見ていきましょう。

■交際費とは 

税務上での交際費 とは、「得意先や仕入先などの事業に関係する人たちに対して行った、接待・供応(きょうおう・酒や食事で人をもてなすという意味)・慰安・贈答などのためにかかった費用」と定義されています。

つまり、交際費として計上するためには、必ず事業に関連する人たちのために使った費用でなければいけないというルールがあります。

たとえば自社の社員のための慶弔費を支払った場合は、交際費にはなりません。(この場合、多くは福利厚生費として処理されています)

また、交際費に該当する内容であっても、1人当たりの飲食の費用が5,000円以下となる場合は交際費にはならず、全額を損金として計上できることもあります。

この場合は、「飲食等の年月日」「飲食等に参加した得意先、仕入先など事業に関係する人たちの氏名・名称とその関係」「飲食に参加した人数」「利用した飲食店等の名称および所在地」「その他参考となるべき事項」が記載されている書類があることが条件とされています。

一方、交際費のうち、1人当たりの飲食費が5,000円を超えている場合には、原則として下記のように処理するというルールがあります。

 ◇大企業(資本金または出資金が1億円以上の法人)

飲食費として支払った費用のうち、50%を損金として計上できる(上限なし)

◇中小企業(資本金または出資金が1億円以下の法人)

※次の①または②のどちらかを選択可能

① 年間800万円までの飲食費であれば、全額を損金として計上できる(ただし、800万円を超えた部分については損金として認められない)

② 飲食費として支払った費用のうち、50%を損金として計上する(上限なし)

 ■なぜ交際費が注視されるのか

税務調査では全ての科目が調査されますが、交際費は特にチェックされやすいと言われています。

その理由はいくつかありますが、やはり一番は「プライベートとの線引きが難しく、事業とは関係のない費用も計上されやすい」という側面を持っていることが挙げられます。

たとえば、飲食店の領収書の場合、それだけでは事業に関係しているのかプライベートで使ったものなのかまではわかりませんよね。提出した人に「取引先と行った飲食店の費用」と言われれば、それを信じるしか方法がありません。

逆に言えば、プライベートの費用も交際費として処理することが可能である、という特徴を持っていることから、税務調査でのチェックが厳しくなるとも言えるのです。

 ◇交際費に入るもの、入らないもの

交際費として考えられる費用の中には、実は交際費にはならないものもあります。

たとえば、下記の費用はどれも交際費ではなく、別の勘定科目になります。

・前項で挙げた1人当たり5,000円以下の飲食費(会議費)

・販売促進のために作ったカレンダー・手帳・タオルなどの費用(広告宣伝費)

・自社の社員のために行った慰労行事(慰労旅行・慰労会など)のための費用(福利厚生費)ただし、金額が大きい場合などは給与とみなされる場合もあります。

■まとめ

明確に経費である、という証明をすることが難しい交際費は、税務調査でも特にチェックされやすい項目のひとつです。

それは交際費には曖昧な部分があることも否めないことから、ある程度は仕方がないことでもあります。

そうなることをできるだけ防ぐためには、証拠書類となる領収書などに、「日付」「同席した人の氏名・社名とその関係(事業に関係している場合に限る)」「利用した店舗名・住所」に加えて「どんな仕事のためにどういった話をしたのか」という内容までメモしておくようにすると、いざとなったときにも役立ちますよ。

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