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会計基準の変更が税務に与える影響

記事作成日2017/10/11 最終更新日2020/05/27

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平成29 年7 月20 日に企業会計基準委員会から「収益認識に関する会計基準(案)」が公表されました。この基準によって、日本において初めて収益認識に関する包括的な会計基準が作られることになります。平成29 年10 月20 日まで意見募集を行い、平成30 年3 月までに取りまとめることを目指しています。現時点で中小企業は適用対象とされていませんが、この新基準を踏まえて税制改正が行われた場合には、影響を受けることも考えられます。

◆主な税務への影響

(1)割賦販売

法人税法によれば、確定した決算において延払基準の方法により経理した場合は、長期割賦販売による損益についても継続適用することで未実現利益の繰延が認められています。
公開草案では、通常の販売方法と同じく割賦販売についても商品の販売時に収益認識をすることとしているため、法人税法上の要件となっている「延払基準の方法により経理」という要件が満たせなくなり、未実現利益の繰延もできなくなると考えられます。

(2)返品調整引当金

出版業など、売り上げた商品の返品率が大きく、常時一定の返品が予想される法人については、返品による損失見込額として、損金経理により返品調整引当金勘定に繰り入れた場合には、申告書に明細を記載することで、繰入額を損金に算入することが認められています。
公開草案では、返品調整引当金の計上は認められないこととされているため、結果的に「損金経理」という要件も満たすことができなくなると考えられます。

(3)消費税の経理方法

消費税の会計処理について、現行の会計基準では、税抜方式と税込方式が認められています。
公開草案では、「売上に係る消費税等は、第三者である国や都道府県に納付するため(第三者に支払うため)に顧客から回収する金額に該当することから、取引価格には含まれない」とされ、税込方式による会計処理は認められなくなると考えられます。

3 月決算法人の場合、早ければ平成31 年3 月期から新会計基準の適用が可能となるため、税法では平成30 年度税制改正において対応が図られることが予想されます。

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