BLOG

専門家によるブログ

相続ブログ

配偶者は相続税がかからないの?

記事作成日2016/07/01 最終更新日2016/07/01

X
facebook
copy

配偶者の相続税額に対する軽減措置の趣旨

配偶者(被相続人との婚姻について婚姻の届出をしている者に限る)に対する相続税については、相続税額の軽減措置が設けられています。これは、長年共同生活を営まれてきた配偶者に対する配慮、老後の生活の保障、また夫婦の多くは同世代であるため、遠からず次の相続(二次相続)が発生し、相続税が課税されることとなるため等です。

配偶者の税額軽減額

配偶者の相続税額の軽減措置を適用すると、配偶者への遺産相続額の「1億6千万円」と「法定相続分」のいずれか多い金額(※)までは相続税は課されません。
実際に配偶者の相続税額の軽減額を計算する場合は、次の算式によって計算されます。

相続税の総額 ×(上記のいずれか多い金額(※)と配偶者の実際取得額とのうち少ない方の金額/課税対象の金額の合計額)=配偶者の税額軽減額

配偶者の法定相続分

  1. 配偶者と子供が相続人である場合:配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
  2. 配偶者と直系尊属が相続人である場合:配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
  3. 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合:配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4

配偶者の税額軽減の適用要件

この規定の適用を受けるためには、相続税の申告が要件となっております。相続税額がゼロであっても申告は必要になります。また、この申告書に必要な添付書類として

  • 遺言書の写し
  • 遺産分割協議書の写し
  • その他の財産の取得の状況を証する書類

があります。

遺産分割が間に合わなかった場合

遺産分割が申告期限に間に合わない場合でも、分割が決まった財産部分については、配偶者の相続税額の軽減措置は適用することができます。これには、まず相続が発生した年の相続税の計算において、未分割財産を除外し申告書を作成し、この申告書に分割されていない事情及び分割の見込の詳細を記載した書類(申告期限後3年以内の分割見込書)を添付し提出しなければなりません。その後3年以内に分割された場合に、軽減措置が適用可能となり、再計算をして納税額が減少すれば、更正の請求をすることができます。

一次相続後の税金について

一次相続、二次相続のトータルで納税額を考えたとき、一次相続時に配偶者が税額軽減額いっぱいで相続することで不利になることもありますので、税理士にご相談ください。

《参考条文》
相続税法19条の2
相続税基本通達19の2-7
相続税法施行規則1条の6③

初めての方 閉じる