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被相続人が老人ホームに入居していた場合の小規模宅地の特例の適用など

記事作成日2016/07/08 最終更新日2016/07/08

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【ケース】
現在老人ホームに入居している母の居住用であった土地・建物について、建物を取り壊して二世帯住宅を建てたいと考えています。
家族構成:母・娘(3姉妹の長女)・孫

Q1 「小規模宅地の特例」の適用について

被相続人が老人ホームに入居している場合、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用は受けられるのでしょうか?
適用可能な場合、相続前に建物を取り壊して新しく建て直したとしても、同様にこの特例は適用可能でしょうか。

A1 「被相続人と同居していた」と認められることが要件となります。

被相続人が老人ホームに入居していた場合の小規模宅地の特例の適用

介護が必要となり老人ホームに入居したことにより居住しなくなった宅地も、被相続人と同居していた親族が取得した場合、貸付をしていない限り小規模宅地の特例の適用を受けられることとされています。

相続前に建て替えをした場合

相続前に建て替えをして娘が居住した場合、母親もここに同居しなければ、適用要件からは外れてしまいます。一般的に、数日に1度ホームから戻ってくる程度では「同居している」とは認められないため、小規模宅地の特例の適用は難しくなります。

【参考】小規模宅地の特例についてはコチラ

Q2 姉妹間で起こりうる問題って?

自分がこの土地を相続したいと考えています。その場合、姉妹間で起こりうる問題にはどのようなことがありますか。また、問題が起こらないようにするためにはどうしたらよいでしょうか?

A2 他の姉妹からの遺留分減殺請求に注意が必要です。

他の姉妹に遺留分減殺請求権があるので注意が必要です。遺留分とは、相続人のために法律上確保された相続財産の最低保障の割合です。このケースのように相続人が直系卑属のみの場合、遺留分は「相続財産の2分の1」と定められています。さらに3人姉妹なので1人あたり「6分の1」ということになります。

遺留分を超えて財産を取得した場合、他の姉妹はその分を取り戻す請求(遺留分減殺請求)をすることが可能となりますので、考慮する必要があります。

遺留分対策

相続財産に他の土地や金融資産等がある場合、遺留分対策としてこの土地以外の財産は別の姉妹が相続する、という内容の遺言書を書いてもらうのがよいと思われます。公正証書遺言(公証人役場から公証人に出張してもらうこともできます。)とするのが、後々もめないためにベストと言えます。

Q3 法定相続人ではない孫に土地を遺贈してもらうことは可能でしょうか?

母から相続した土地は、自分の相続発生時には、娘(母からみて孫)に相続させる予定です。
それを考え、あらかじめ母から自分を飛び越して娘(母からみて孫)に相続させることは可能でしょうか。

A3 遺言で孫に土地を遺贈するよう指定することが可能です。

孫が法定相続人でない場合も、遺言で土地を孫に遺贈するよう指定することが可能です。その場合、相続税額の2割加算の対象となります。

「一代飛び相続」をした場合の2割加算

相続等により財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫を含む)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。娘が生存しているうちに孫に遺言で遺贈する場合、この対象となってしまいますが、二次相続等を考慮すると有利になる可能性はあります。

ただしこの場合も上記Q2と同様に、遺留分については注意が必要です。

《参考条文》
措置法69条の4第1項、第3項第2号
民法1028条
相法18

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