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災害があった場合の法人の税務上の取り扱いについて

記事作成日2018/07/13 最終更新日2018/07/13

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ここ最近日本においては異常気象と見られる現象が多発しています。その中には、ゲリラ豪雨と呼ばれるものや地震といった災害があり、多くの方が被害に遭われています。災害が発生すると法人においては事業を継続していくことが困難となる場合があります。
そこで税務上では、災害が発生した場合の取り扱いについて様々な特例措置が設けられています。今回は災害があった場合の法人の申告期限等の延長及び復旧のために支出する費用の税務上の取り扱いについて説明します。

災害等による期限の延長

国税通則法では「国税庁長官等は災害その他やむを得ない理由により、申告や届出等の提出、納付が期限までにできないと認めるときは、その理由のやんだ日から2月以内に限り、期限を延長することができる。」としている。
つまり、災害等で被災したことにより、申告書の提出期限までに申告書の提出・税金の納付をできないと国が認めたときは、引き続き災害が発生するおそれがなくなった日から2月以内に限り、その申告書の提出・納付の期限を延長することができます。
この取り扱いには、地域指定、対象者指定、個別指定の3つがあります。地域指定と対象者指定は国税庁長官が地域又は対象者を指定して期限を延長するのに対して、個別指定は納税者が申請し、税務署長が期限の延長を認めることにより適用されます。災害等が火災などの個別的事例の場合には、納税者の申請により期限の延長が認められる場合があるので、災害による被害を受けた方は、最寄の税務署にご相談下さい。

復旧のために支出する費用の取り扱い

災害が発生した場合には、法人の建物や車両などの資産が損壊してしまうことがあります。このような場合において、復旧のために支出する費用がどのように取り扱われるかについて説明します。
原則として、災害の発生後の修繕等は、原状回復として行なわれるものは修繕費として損金の額に算入されます。災害により建物等が損壊してしまい新たに建物等の建て替えをした場合には資産の取得として取り扱われます。なお、被災資産の修繕であっても使用可能期間の延長や資産の価値が増加したものとされるものは資産として計上していくこととなります。
下記のような復旧のために要する費用は、法人税法上で別途取り扱いが定められています。
災害後の二次災害を回避するなどの目的で被災資産について耐震性を高めるために行った補強工事のために支出した費用は、被災前の効用を維持するための費用として修繕費として経理したときは、その処理が認められます。
なお、被災資産以外の資産の耐震性を高める工事のために支出した費用については、その資産の使用可能期間の延長又は価値の増加をもたらすものとして資本的支出として、資産計上することになります。
被災資産と被災資産以外の耐震性を高めるために行った補強工事の取り扱いの違いは、原状回復として行ったものか、それとも価値の増加として行ったものかによって取り扱いが変わりますので注意が必要です。
なお、災害等により被災資産について保険金等の支払いを受ける場合において、保険金収入金額から被災資産の帳簿価額を控除した場合に保険差益が発生した場合には、その保険差益に対して課税の繰り延べの効果がある圧縮記帳の規定の適用を受けることが可能となる場合があります。

まとめ

災害があった場合には、税務上においても様々な特例制度等があり、被害に遭われると精神的・肉体的な負担が伴うため、特例制度等を活用して復興に役立てていただければと思います。

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