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事業承継にかかる時間と実施の流れ

記事作成日2017/09/20 最終更新日2017/09/19

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「自分が育ててきた事業を人に引き継がせる」という事業承継は、非常に大切なものです。この事業承継は、いったいどれくらいの時間がかかり、どのようなやり方でやっていけば良いのでしょうか?

今回は、事業承継を、「時間」「流れ」という視点から見ていきます。

事業承継の期間に5~10年かかるのは本当か

37 事業承継にかかる期間と実施の流れまず知りたいのが、「事業承継にはどれくらいの時間がかかるのか」ということです。事業承継は、さまざまなものを引き継がせなければなりません。また、場合によっては、後継者を育てるところから始めなければならないでしょう。事前にどれくらの準備をしていたのかによっても変わってくるため、一概に「○年程度だ」と言い切ることはできません。長く時間をかけるケースの場合は、事業承継が終わるまで10年以上かかる場合もあります。

その一方で、すでに後継者がきちんと育っていて、かつ適切な人・機関に助力を要請するということであれば、半年で事業承継を終わらせてしまうケースもあります。

このようなことを考えれば、事前の準備や、事業承継を見据えた後継者育成がいかに大切かということが分かります。

事業承継のタイミングは?

「事業承継」というと「世代交代」を意識することになります。このため、心情的な抵抗感からか、ギリギリまで事業承継を行わないというケースもあります。

しかし、病気や過労、あるいは加齢による判断能力の低下がみられるようになってから事業承継を行うことになると、本人の判断能力が低下している場合もあれば、状態を確認しようにも病院の中にいる……など、さまざまなことが滞る可能性があります。

このため、早い段階で後継者に事業承継をするのが良いでしょう。
また、一度事業承継をしたのであれば、事業承継後は静かに見守ることも大切です。

事業承継計画の立案方法

事業承継を考える上で重要になるのが、計画書です。
「自分の会社は小さいから必要ない」「そのときになったら考える」という人もいるかもしれませんが、できるだけ早めに「事業承継」を行っていかなければなりません。

また、事業承継を立案する際には、現在の自分の会社を「数字」として見ることになりますから、それによって現在抱えている問題点と、そしてその解決策を考えることができます。現在の経営状況や今後の展開、具体的な数値を盛り込んだ計画書を作りましょう。

起こりうる可能性のある人事上の反発や贈与税などの税金について、じっくりと対策を講じることもできます。

育て上げた後継者がいるのであれば、そのなかの誰を後継者として指名するのかをしっかり考えます。また、後継者が確定したのであれば、その人を支えるチームを作りあげることが必要です。「今から後継者を育てる」という場合は、5年~10年程度の時間が必要です。

「親族の1人を後継者として指名するべきか、それとも従業員の1人を後継者として指名すべきか」によって、事業承継方法も異なってきます。税金面でも異なった処理が必要になることもあるので、決定は慎重に行いましょう。

事業承継計画書には、「現在の資産の状況」「後継者(やその候補者)」「時期」「起こりうるトラブルへの対策」を入れます。この際は、具体的で、かつ明確な数字を挙げたものを作るのが望ましいでしょう。

まとめると、事業承継計画の立案の流れは以下のようになります。

1.現状の把握
2.後継者の育成、後継者を支えるチームの作成
3.後継者の確定・事業承継方法の確定
4.具体的な数字を入れた事業承継計画書の作成

立案から実施までの流れ

立案が終わったら、それを行動に移さなければなりません。現在は専門家に相談すれば、資金繰りや相続のこともよく相談に乗ってくれてシミュレーションで上がってきたデータを提示してくれます。そうすることで、自分が選ぶべき選択肢が見えてくるでしょう。これらを参考にしながら、以下のような手順で進めます。

現状の把握と分析

会社の資産や株の所有者を確認します。また、後継者候補の意志もしっかり確認しておいてください。

対策を考える

事業承継においては、株を買いあげるお金が必要になったり、後継者を教育するための時間が必要になったりします。また、周囲の人間から反発が起こる可能性もありますから、それに対してどのように対応していくかを考える必要もあります。

ここまでは「立案」のところとも重なるところです。ただ、「実施」すると決めた時は、より細かく、より詳細に煮詰めていくことが求められるでしょう。

株を後継者に引き継ぐ

親族以外の人に事業承継をする場合、多くの人がここの資金繰りについて不安を持っています。このあたりも専門家に相談するのが一番です。場合によっては事業承継ローン(別の呼称もあり)を使ったり、無料で株を引き渡したりする可能性も出てくるかもしれません。

引退

すべての作業が終わったら、いよいよ現経営者の引退です。もちろんそのまま会社に残り続けることはできますが、上でも述べたような引退した後に出しゃばるという行動はあまり褒められたものではありません。引退する時期をしっかり決めておきましょう。

以上、事業承継にかかる時間と実施の具体的な流れについて見てきました。事業承継を始める時期は、現経営者の引退時期を考慮し、逆算した上で決定すると良いでしょう。

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