2021年11月17日

辞める社員を減らしたい!離職率改善の秘策、オンボーディングとは?メリットや進め方、事例を詳しく解説【資料付き】

人材育成

近年、新入社員の早期離職、育成に課題を抱えている企業が増えています。

「新入社員が会社に馴染まない」「3年以内に辞めてしまう社員が後を絶たない」「新入社員がなかなか育たない」

このような課題を解決するには、企業が積極的な施策を講じることが重要です。そんな状況を解決する手段として注目されているのが「オンボーディング」です。新入社員が会社の業務・文化・風土に馴染み、活躍してもらうためのサポート方法で、離職率の改善に有効です。

今回は、オンボーディングの意味やメリット、施策例などをご紹介します。

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オンボーディングの意味

オンボーディングとは、新卒や中途入社の新入社員を会社の一員として受け入れ、戦力化するまでの一連のプロセスを指します。もともとは、英語で「船や飛行機に乗っている」という意味の「on-board」から派生した言葉です。

新入社員が活躍するためには、まず会社の環境や人間関係に馴染んでもらい、その上でどのようなスキルをどのようなステップで身に着ければいいかを「見える化」することが必要です。そのための会社の取り組みと言い換えても良いでしょう。


なぜオンボーディングが注目されているのか

オンボーディングが近年積極的に実施されるようになった背景の一つは、若い世代の離職率です。厚生労働省の調査では2010年以降、新卒社員の3年以内離職率は30パーセント台で推移しています。

終身雇用制度が過去のものになりつつある今だからこそ、企業は新入社員の定着、戦力化に全力を尽くさなければならないのです。

では、なぜ社員は辞めてしまうのでしょうか。離職率を改善させるにはその根本を知る必要があります。独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によると、会社を辞める理由の上位には、「メンタルの不調」「人間関係」「仕事内容のミスマッチ」がランクインしています。

・新入社員が会社に馴染まない
・新入社員が3年もたたずに辞めてしまう
・新入社員がなかなか育たず、マネジメントが大変

このような状況に悩んでいる場合には、あなたの企業もオンボーディングに本気で取り組む時期に差し掛かっているかも知れません。


オンボーディングのメリットは?どんな効果が期待できる?

では、オンボーディングに取り組むことで、どんなメリット、効果があるのでしょうか。

1)独自の会社風土が理解できる!

同じ業界であっても企業にはその会社独自の経営理念や職場の雰囲気があります。「業界経験者だから」という理由でサポートを怠っていると、新入社員が企業風土に馴染めず、実力を発揮できなかったり、離職の原因になることがあります。

代表が自ら会社を説明する場を設けたり、職場の人と直接コミュニケーションをとる機会を増やすことで、会社への帰属意識を高めることができます。

2)職場の人間関係を構築できる!

新入社員が仕事を早く覚えるためには、困ったときにすぐ助けを求められる良好な人間関係が必要です。オンボーディングによって、職場の人を知る機会、コミュニケーションがとれる場を増やすことで、職場の人間関係を良好にすることができます。

3)専門スキル・ビジネススキルの習得ができる!

専門スキルとは、業種や職種によって習得しなければならないスキルのことです。一方で、ビジネススキルとは、どの業種や職種にも共通するスキルのことです。基本的な報連相の仕方や電話の受け方などビジネスマナーと言い換えても良いでしょう。

新卒社員は中途社員と違い、社会人経験がないため、ビジネススキルの習得から必要になります。オンボーディングを通じて両方のスキルを効率的に身につけることができます。

オンボーディングでは、「企業文化の定着」「人間関係の構築」「スキルの習得」これらを達成するために、さまざまな施策を複合的に行います。組織の文化を知ることで社員間のコミュニケーションが活発になり、良好な人間関係を構築することが可能です。上司と部下の関係が強まれば、スキルの習得にかかる時間が大幅に短縮されます。このような好循環を生みだすことがオンボーディングの目的です。

戦力として成長した社員は仕事に対してやりがいを感じたり、昇給などの待遇が改善されたりと、離職原因が減り、早期離職を回避することもできます。

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オンボーディングの進め方

では、オンボーディングはどのようにして進めていけば良いのでしょうか?通常、大きく2つのフェーズに分けて進行します。

1)計画作成フェーズ

【期間ごとに、なって欲しい人物像を決める】

入社から、初日、1週間、2週間、1か月、3か月と期間を分け、その時点で新入社員がどのような状態で仕事をしているのが理想か、目標を設定します。まずは、1〜3年後にこうなっていて欲しいとゴールを決め、そこからバックキャストして短い期間の計画に落とし込むのが良いでしょう。

取り組み内容を決める

期間ごとの人物像が決まったら、理想に近づくための取り組みを考えます。内容は会社によって異なりますが、担当者とスケジュールを設定し、具体的なタスクに落とし込んで行きます。

2)計画実行フェーズ

進捗管理をする

新入社員一人ひとりに対して効率的に進捗管理を行うために、やることをまとめたチェックリストやガントチャートを作成します。進捗状況を育成担当者や上司が共有できるよう、報告フローの整備も併せて行いましょう。

【進捗状況に応じた業務の割り振り、成長度のフィードバックを行う】

育成計画のタスクを完了すると、新入社員ができる業務は増えていきます。それに合わせて業務の割り振りを行いましょう。

また、タスクの進捗は新入社員が成長している証でもあります。1対1面談(1on1)の時間を設けて、成長度のフィードバックを実施します。これにより新入社員は自身の成長を感じられ、業務に対するモチベーションの向上、会社へのコミットメントの高まりが期待できます。

3)オンボーディングサーベイを活用する

【 「オンボーディングサーベイ」で新入社員のエンゲージメントの低下を察知する】

オンボーディングサーベイとは、新入社員のエンゲージメントの度合いを調査するアンケートです。

エンゲージメントが下がる、あるいは直属の上司・育成係の認識とズレが調査で判明した場合は注意が必要です。業務内容や職場の人間関係でストレスを感じている可能性があるため、1対1面談(1on1)を通して相談に乗ったり、業務のサポートをするなどの対策を行いましょう。事前に離職の兆候を知ることで、早期の退職を防ぐことができます。

1 on 1ミーティングについては以下の記事もご覧ください。

【テンプレートあり】やる意味のない1対1面談はもう終わり!目的・進め方・失敗しないポイントを大公開!

オンボーディングの事例

では、オンボーディングの取り組みにはどのようなものがあるでしょうか。企業によって適する、適さないはありますが、よくある施策の事例をご紹介します。

(1)新入社員紹介

新入社員の経歴、趣味、新しい職場で頑張りたいことなどの情報を社内掲示板で公開する。新入社員がどんな人物かを知ることでスムーズに組織に受け入れる準備が可能になり、コミュニケーションのきっかけ作りにもなる。

(2)ジョブローテーション

自分が所属している部門以外の顧客面談に同席したり、業務を体験することで、他部署の業務への理解を促す。

(3)エルダー制度

新入社員一人に対して一人ずつ、業務や会社のルールを教える担当をつける。定期的な1on1ミーティングや業務日報の交換を付帯で行うことにより、新入社員の状況を把握することができる。

(4)メンター制度

会社全体の新卒社員の相談役を設置する。定期的に面談を行い、直属の上司や先輩には言えない悩みなどをヒアリングする。

(5)ランチ会

部門を超えたグループでランチをすることでコミュニケーションの活性化を図る。在宅勤務が多い場合はビデオ会議ツールを利用して開催しても可。

(6)社員・幹部による会社説明会

社長をはじめ、経営層が新入社員に向けて、会社・各部門の紹介をする。会社全体や他部署への理解を促す。

(7)新入社員による会社紹介発表

新卒入社の社員が全社員に向けて、自社の会社紹介をする。新卒社員の会社の理解を促す。

(8)業務スキル研修

研修で業務に必要なスキルを学ぶ。新卒社員には、ビジネスマナーや報・連・相、Microsoft Officeの研修を受講してもらう。

(9)新卒社員受け入れの心構え研修

既存社員が新卒社員の思考傾向や新卒社員とのコミュニケーションの方法を学ぶ。また、会社の人材育成方針を伝え、既存社員の人材教育に対するマインドセットを行うことも重要。

(10)オンボーディングサーベイ

社員に向けてアンケートの調査を行い、社員一人ひとりの仕事へのモチベーションや会社への満足感を調査する。離職の兆候を事前に把握することで適切な対応が可能になる。


オンボーディングを成功させるポイント

ポイント1 人材育成方針を作る

人材育成方針とは企業が、『何を目的に、どのような方向性で人材を育成するのか』を明確にした指針です。オンボーディングの目指すゴールが「見える化」することで、取り組むべき施策が立てやすくなります。

ポイント2 会社のトップが覚悟を決める

会社のトップが自ら社員に向けて人材育成方針の表明をし、共通認識の浸透を図ることで、本気の姿勢を伝えることができます。

ポイント3 会社全体のプロジェクトにする

人材育成のためのサポートチームを作るなど、部門を超えた会社全体のプロジェクトとして管理することが大切です。管理者の能力に頼る属人化を防ぐほか、各部門のマネジメント負担の軽減にも寄与します。

ポイント4 他部署との人間関係作りをサポートする

直属の部門以外に協力しあえる、ヨコの関係(同期)、ナナメの関係(他部門の先輩・後輩)作りをサポートすることで、新入社員に安心して楽しく働ける職場だと思ってもらいます。

ポイント5 離職の危険信号を察知する

社員のモチベーションやエンゲージメントの低下には特に敏感になりましょう。在宅勤務を実施している企業では、社員の危険信号に気付きにくいため、在宅勤務用の仕組みを構築することが必要です。

オンボーディングはTOMAにお任せください

TOMAでは、これまでに多くのお客様に対して新入社員のオンボーディング計画の作成・実行をサポートしてきた実績に加え、自社においてもオンボーディングを行なってきました(オンボーディングコンサルティングの詳細についてはこちら)。豊富な知見とノウハウを駆使してお客様をサポートします。

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著者情報

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役 人材開発コンサルタント

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役 人材開発コンサルタント

市丸 純子

2013年TOMAコンサルタンツグループ入社。現在はグループ内の長期ビジョン実現に向けた特別プロジェクトのマネージャーを務め、自社内の組織開発・人材開発に携わる。また、その経験を活かし、「100年企業を創る」をモットーに、多くの中小企業に向けて人材開発コンサルティングを提供している。

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