2023年4月6日

1対1面談(1on1)の効果的な進行方法を6つのステップに分けてご紹介!

人材育成 組織開発

部下との1対1面談(1on1)を実施する際に、面談をどのように進めたらよいか分からない方が多いのではないでしょうか。今回のブログでは「1対1面談(1on1)の効果的な進行方法」を6つのステップに分けてご紹介します。

動画でもご紹介していますので是非ご覧ください!

ステップ① 事前準備をきちんと行う

まずは面談を始める前にきちんと事前準備を行いましょう。面談を行う目的を再確認するほか、話す内容について情報収集・整理をしたり、時間配分を考える作業です。具体的には以下のようなものです。

面談の目的を明確にする

1対1面談(1on1)は部下の活動支援が主な目的です。単なるお説教タイムではありませんので、面談を行う目的を再確認し、部下に対して、何をしてあげられるかを改めて考えましょう。

前回の面談内容や過去の部下の行動を振り返る

初回の面談ではない場合、前回の面談で残した議事録などを振り返ると良いでしょう。前回の面談で確認したタスクや設定した目標があれば、その進捗を面談の中で確認してください。また、普段の部下の行動を振り返り、成長している点や評価すべき点を振り返り、面談中に伝えられるように準備をしておきましょう。

面談時間の時間配分をする

こちらが話すことをたくさん用意していても、部下の側にも聞いてほしい話が持ちきりかもしれません。「これだけは伝えたい」ということにどれだけ時間がかかるか、ある程度把握しておきましょう。

 

ステップ② 雑談をする

面談が始まったら、まず雰囲気を柔らかくするために雑談から行いましょう。しかし、「その雑談こそが苦手」と感じる口下手な方も多いのではないでしょうか。そこで、雑談の話題として、「キドニタテカケシ衣食住」というものがありますので、是非参考にしてください。

[キドニタテカケシ衣食住]…季節、道楽(趣味)、ニュース、旅の話、テレビ、家族、健康、仕事の頭文字と衣料(ファッション)、食べ物、住まい(現在の住まいや出身地域)のこと

ただし、雑談の際に気をつけたいことが2つあります。

1つ目は、政治・宗教に関する話題、人によっては家族や健康の話は踏み込み過ぎないようにすることです。そこでお勧めなのが、「最近楽しかったこと」や「最近嬉しかったこと」を質問することです。この聞き方であれば、相手が触れて欲しくない話題を避けることができるため、リスクが少なく、明るい雰囲気になりやすいです。

2つ目は、論理や正しさよりも、「気持ちのやりとり」を大切にするということです。

例えば、「最近楽しかったことは何?」と聞いた時に、部下が「休みの日は寝てばかりなので、特にありません。」と答えてきたとしましょう。「だめじゃないか。若いんだから休みの日は出掛けないと!」と上司としてより良い方向に導こうとするのは間違いではないですが、雑談としてはNGです。雰囲気を柔らかくするための雑談で、部下へのお説教をしてしまわないように気を付けましょう。

 

ステップ③ 部下の働きぶりを認める(承認)

雑談が終わったら、部下の日頃の働きぶりを認めていることを伝えましょう。

上司のあなたが承認することで、部下は日々の行動に自信が持てるようになり、能力を発揮してくれます。ここでは、「承認」を行う際のポイントをご紹介します。

具体的なエピソードと共に伝える

部下に伝える際に、「いつも頑張ってるね」と言うだけでは、本当に伝えたいメッセージは伝わりません。「この間の案件、率先して対応してくれてありがとう。」「さっきのお客様への連絡すぐに対応してくれて助かったよ。仕事のスピードが上がってきたね。」このように「具体的なエピソード」と共に伝えると、「上司はきちんと自分のことを見てくれている」と感じてもらうことでき、信頼関係の構築に繋がります。

行動(プロセス)を認める

仕事の「結果」を評価するだけでなく、「行動(プロセス)」を認めることも大切です。営業職の方であれば売上など目に見える成果を評価しやすいですが、間接部門などでは成果が可視化できるとは限りません。成果を評価しにくい職種の方は特に意識して行いましょう。

基本的には、業務に関することについてのみ言及する

承認といっても、業務と関係のない容姿の特徴(髪型、服装など)などに言及することは避けましょう。「その髪型いいね。」や「ネクタイがオシャレだね。」といったことは目に見えるので伝えやすいのですが、信頼関係の構築には繋がりません。

「褒める」イコール「承認する」ではありません!

承認することは「褒める」ことだと思っていませんか?実は、1対1面談(1on1)において両者は似て非なるものです。では、両者はどう違うのか?次から詳しくご説明します。

例えば、小さな子どもが元気に挨拶してきたら、「元気に挨拶できて偉いね。」と褒めますが、大人が挨拶をしても「偉いね。」とは褒めません。この場合、子どもは挨拶をできないと思っていたので、思いがけない元気な挨拶を受けて子どもを褒めます。反対に大人が挨拶をした時に褒めないのは、当然挨拶ができることを知っているからです。

もし、褒められたら、相手は馬鹿にされたと思うでしょう(相手の挨拶が思いがけず良い挨拶だったとしても「偉い」ではなく、「気持ちの良い挨拶ですね」「朝から私も元気が出ました」などの言い方が良いですよね)

このように、褒めることは「思ったより(できてすごい)」というニュアンスを感じられる場合があります。そのため、「偉い」「すごい」と褒めるのではなく、「とても助かった。ありがとう。」や「〇〇さんが喜んでいたよ。」というように承認のメッセージを伝えましょう。「あなたの具体的な行動のおかげで私は助かっている」「ここにはあなたの居場所がある」ということが伝わることで、部下は職場に安心を感じることができます。

部下の行動を「褒める」ではなく「承認する」ようにしましょう。

ステップ④ 面談の本題に入る

場が和んできたら、いよいよ面談の本題に入ります。面談の本題で話す基本的な内容をご紹介します。

前回の面談からの振り返り

前回の面談からの振り返りを行いましょう。具体的には、前回悩んでいたことはその後解決できたか、前回決めた課題はチャレンジできたか、といったことを聞きましょう。また、前回からの間で成長した点、やりがいを感じた仕事、どのような改善が出来たかを聞くのも良いでしょう。

現状把握

過去の振り返りを行った上で、今は何に困っているのか、どんな協力を必要としているのか、といったことを聞きましょう。また、自己学習など今頑張っていることを聞くのも良いでしょう。

今後の重点目標

重点的に取り組みたい仕事は何か、チャレンジしたい新しい取り組みは何か、といったことを聞きましょう。出てこない場合は、上司から期待している役割を伝えることで、今後の重点目標を部下から引き出すことができれば理想的です。

また、部下がしっかり自分で目標を示すことができた場合、「そういう案件なら○○さんが経験しているから聞いてみるといいよ」「自分が受けた研修が役に立ちそうだから受けてみたらどうかな」という風にアドバイスしましょう。こういったアドバイスや姿勢が部下の活動支援に繋がります。

 

ステップ⑤ 次回の面談までにやるべきことを決める

ポイントは「部下に決めさせる」ことと「成果の可視化」です。

次回の面談までに行う具体的なアクションプランを決定しましょう。ステップ④で話した内容をもとに、次回の面談までに行うことを決めます。

ここでのポイントは「部下に決めてもらう」ことです。

「今後この仕事にチャレンジしたいんでしょ?だったらこれやっておいてね」と上司が決めるのではありません。「そのためには何が必要だと思う?」「来月までにどこまでできそうかな」と質問することで、部下本人に決めさせることが重要です。そのことで、いわゆる『やらされ感』がなくなり、決めたことを実行に移しやすくなります。

また、結局は上司の求めることを「言わされた」と思わせないためにも、ここまでの流れを通して部下が忖度せずに意見を言う雰囲気を作ることが大切です。

また、やるべきことが決まったら、成果を可視化することも重要です。

来月までにどうなっていればいいか、どうなっておくべきかをできるだけ明確にして、次回しっかり振り返り、検証を行えるように目標設定をしましょう。

ステップ⑥ 相手の気持ちを前向きにして終える

やるべきことは決まり、お互いにちょっとした達成感を覚えつつも、ドアを一歩出た途端、部下は「あれ?なんだか仕事が増えたな…」という気持ちになってしまうかもしれません。前向きな気持ちでチャレンジしてもらうためにも、最後は部下に自信を持たせて締めくくりましょう。

そのために、上司から「期待」の想いをしっかり伝えることが大切です。

「あなたにはどんな役割を期待していて、これができるようになるといかに成長できるか、あなたならきっとできると信じているし、私もそれに向けて応援するから一緒にがんばろう」といったメッセージを伝えましょう。

また、次回の面談は、今回の振り返りから始めることを伝えましょう。今回決めたことができたか振り返りから始めると伝えることで実行する意識が高まります。

 

ここまでの流れを行い、面談を終了させましょう。

 

決めたことは議事録に残す

面談で決めたことは、議事録に残すことを徹底して下さい。1対1面談(1on1)を実施している会社でも議事録を残していないことが多いです。

議事録が残っていれば、次回の面談時にそれを一緒に見ることで前回の振り返りもスムーズに行えるようになりますので、必ず実践してください。

話に夢中になりメモを忘れるようであれば、「その意見いいね!メモするからちょっと待って」と部下と一緒に議事録を作っていっても良いでしょう。

 

次回の1対1面談(1on1)から議事録を作成しようと思ってくれた方は、こちらから議事録のテンプレートがダウンロードできます。是非活用してください。

まとめ

「1対1面談(1on1)の進行方法」を6つのステップに分けてご紹介しました。

今回ご紹介したものはあくまで基本的な進行方法ですので、1対1面談(1on1)を行う目的や面談者のスキルによって調整すると良いでしょう。

TOMAでは、会社の状況に合わせた1対1面談(1on1)の進め方の設計を行うことも可能です。是非お問合せください。

こちらの動画も合わせてご覧ください!

著者情報

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役 人材開発コンサルタント

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役 人材開発コンサルタント

市丸 純子

2013年TOMAコンサルタンツグループ入社。現在はグループ内の長期ビジョン実現に向けた特別プロジェクトのマネージャーを務め、自社内の組織開発・人材開発に携わる。また、その経験を活かし、「100年企業を創る」をモットーに、多くの中小企業に向けて人材開発コンサルティングを提供している。

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