2023年2月15日

財務情報では伝わらない自社の強み=”知的資産”を見える化!  『知的資産経営報告書』で会社のセールスポイントを社内外に伝えよう

組織開発

自社の良いところは何ですか?

この問いに、どれだけの社員の方が正確に答えられるでしょうか?

あなたの会社の社員は、自社のセールスポイントについて正しい共通認識を持っていますか?そして、お客様はあなたの会社の真価を理解しているでしょうか?

 

客観的な視点から自社を顧みた資料が欲しい。自社の強みをお客様にしっかり伝えたい…そんな時に重宝するのが『知的資産経営報告書』です。

今回のブログでは『知的資産経営報告書』のメリットや作成時のポイントについて解説します。

 

会社の強みを見える化-“知的資産経営報告書”とは何か?

そもそも”知的資産”とは何でしょうか?

知的資産とは、バランスシート上に記載されている資産以外の無形の資産のことです。
人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランド等)、組織力、経営理念、顧客とのネットワークなど、『企業における競争力の源泉』と言い換えることもできます。

その知的資産に加え、事業概要や歴史・沿革、経営戦略などを客観的にまとめた資料を「知的資産経営報告書」と呼び、会社経営におけるさまざまなシーンで活用することができます。

 

 

知的資産経営報告書の活用ポイント

経営が順調であれば「知的資産経営報告書」などなくても良いのではと思うかもしれません。では、なぜ多くの企業が手間と時間をかけて知的資産経営報告書を作成するのでしょうか。

以下、知的資産経営報告書の活用ポイントをご紹介します。

① 財務情報に表現されない”中小企業の持ち味”をアピール

資本金や有形資産などは見えやすいのですが、知的資産は企業が積極的にアピールしないと周りには伝わりません。

例)
見えやすい有形資産→都内に5店舗展開するイタリアンレストラン
見えにくい知的資産→実はピッツァ世界チャンピオンが在籍している

知的資産は上手く訴求できれば大きなビジネスチャンスに発展する可能性があります。

② 社員の自社理解や採用活動にも効果を発揮

知的資産情報がまとまっていると、金融機関からの融資が通りやすくなったり、外部の企業に自社の良い点が伝わりやすくなります。また盲点となるのが、実際に働いている社員が自社を理解していないケースです。
社員の帰属意識を高めたり、また、採用活動にも効果を発揮します。

 

 

さらに、以下の観点で活用できそうな企業の方は、知的資産経営報告書の作成を強くお勧めします。

③自社のセールスポイントを顧客に伝える手段として

顧客に自社を知ってもらう方法がない場合、知的資産経営報告書は有効なツールとなります。
また、事業成長のために注力すべき事項を見える化することができます。知的資産経営報告書を公開することで、自社とその製品(商品・サービス)の理解を促すことも可能です。

④人材育成や採用における”求める人物像”の明確化

会社が求める人材の獲得、従業員の育成など、人材の強化に有効です。仕事内容や組織の魅力が見える化すれば、採用活動における基準を明確にすることができます。

⑤事業承継をする後継者へ会社のことを伝えきるための資料

円滑な事業承継が行えるよう、現経営者と後継者の認識ギャップを埋めるツールとして有効です。また、現経営者と後継者が一緒に作成することで事業承継の方針や今後の経営について深く話し合うことができます。

知的資産を明確にすることは、自社の経営戦略の軸を確立することにつながります。

 

 

自社の強みを業績向上に結び付ける“知的資産経営”

競合他社に打ち勝つためには会社のUSP(Unique Selling Proposition=自社が持つ独自の強み)を明確にし、自社の優位性を訴求することが有効です。その観点から、近年では知的資産を有効に活用した知的資産経営に注目が集まっています。

知的資産経営とは、会社が保有する知的資産を有効に維持・管理・強化・改善し、事業に結びつけ、価値を実現していく経営手法です。自社の強み(知的資産)を十二分に把握、活用することで業績の向上に結びつけることを目的とします。

自社の経営内容を知的資産経営報告書で開示することにより、従業員や金融機関、取引先等の共感を得るだけでなく、連携の強化を図り相乗効果を生み出すことが可能です。事実、多くの中小企業は財務情報に現れない知的資産を強みとして活用しています。

 

日本企業の強みの例

① 製造段階での「すりあわせ」に代表される製品の細部へのこだわり・技術・ノウハウ

② 顧客との意思疎通による問題解決型の商品、サービスの開発スピードの速さとそれを可能にする組織・システム

③ 品質や中長期的な安定的存在感、中期的な取引関係などに基づく信頼に裏打ちされた商品・サービス・企業のブランド力

④ レベルの高い従業員のモチベーション維持。能力の発揮及びそれを可能にしてきた雇用・組織関連のシステム

⑤ 技術者・技能者の裾野の広さに支えられた知的創造の能力

自社の知的資産を明確にできたら、自社の強みをこれまで以上に応用できないか、顧客ニーズに対応できるようにならないか、自社の強みを活かせる人材を育成するためにはどうすれば良いかを中心に検討していくことが知的資産経営のポイントです。

 

 

知的資産経営報告書を作成するメリットとは

知的資産経営報告書を作成することでさまざまな恩恵を享受することができます。作成のメリットを改めてまとめます。

メリット① 限られた経営資源を最適に活用することができるようになる
メリット② 経営者自らが、自社の強みについて新たな「気づき」を知るきっかけになる
メリット③ 取引先、顧客からの信用度が高まる
メリット④ 従業員の意識や仕事に対するモチベーション、一体感が高まる
メリット⑤ 経営方針や事業戦略に共感する人材の確保につながる
メリット⑥ 金融機関等の自社に対する理解が深まる
メリット⑦ 自社の強みを形に残して、後継者に引き継ぐことができる

 

 

知的資産経営報告書の作成方法

では、知的資産経営報告書はどのように作成すればよいのでしょうか。

どのような会社にも、強みがあり、それを武器にして社員を雇用し、売上をあげています。その強みを客観的な視点からピックアップすることがはじめの一歩です。

・なぜお客様は貴社を選んでくれるのか
・貴社はなぜこれまで経営してこられたのか
・取引先や金融機関に会社の強みやこだわりをどのように伝えているか
・社員は、会社の強みを十分に理解していると自信を持って言えるか

まずは上記のような項目を定め、書き出してみることから始めましょう。

知的資産経営報告書は競合他社や流行に合わせるのではなく、今ある自社の資産に合わせた無理のない戦略を立てることが大切です。社員が納得感を得ることができ、新しい価値・商品サービスの提供につながるようなものになれば成功といえるでしょう。

 

 

しかし、自社で内製しようとすると、簡単にいかないことが少なくありません。

以下、うまくいかないケースをまとめます。

・活発な意見交換が起きない
・意見を整理し、まとめられない
・強みを掘り下げるのが難しい
・ディスカッションで、社長や上司が求める答えを当てにいってしまう

「他社を真似して」「儲かりそう」という考え方だと、自社の社風に合わない報告書になってしまう事例も少なくありません。そのため、質の高い「知的資産経営報告書」を作成する場合は、専門家のサポートを受けながら作成するのがおすすめです。

 

TOMAの知的資産経営報告書作成サービスで会社の強みを見える化

TOMAでは、「知的資産経営報告書」を作成したい企業に向けたコンサルティングサービスをご用意しています。知的資産を熟知したプロフェッショナルでありながら、状況を俯瞰できる「第三者」という特性を最大限に活かし、企業の強みを浮き彫りにします。

作成は参加者の皆様とディスカッションを行いながら進めていきます。
参加する対象者や人数は作成目的によって変わりますが、コンサルタントがファシリテーターとして会議を進行するので、知的資産経営報告書を初めて作るという企業でも全く問題ありません。

知的資産経営報告書に関する情報をまとめたテキストや、作成を円滑に進めるためのワークシートもご用意しています。

次期後継者や社員と一緒に作成することで、会社について改めて考えるきっかけにしたり、自社の持つ強みに関する認識のすり合わせを行うこともできます。

 

「知的資産経営報告書」完成までの流れ

TOMAの知的資産経営報告書作成サービスは以下の流れで進めていきます。

ステップ1:自社の強み・弱み、外部環境の機会・脅威の洗い出しをする
ステップ2:自社の強みがどのように収益につながるかを整理する
ステップ3:現在の知的資産を整理する
ステップ4:未来の戦略と強化・補完する知的資産を考える
ステップ5:知的資産経営報告書をまとめる

最終的に知的資産、現在の課題、将来のビジョン、強化すべき知的資産をわかりやすくまとめた知的資産経営報告書をご提供します。

 

 

今回紹介したブログに関するサービスの詳細(知的資産経営支援サービス)はこちらになります
ご興味を持たれた方はぜひ一度、お問合せください

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著者情報

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役 人材開発コンサルタント

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役 人材開発コンサルタント

市丸 純子

2013年TOMAコンサルタンツグループ入社。現在はグループ内の長期ビジョン実現に向けた特別プロジェクトのマネージャーを務め、自社内の組織開発・人材開発に携わる。また、その経験を活かし、「100年企業を創る」をモットーに、多くの中小企業に向けて人材開発コンサルティングを提供している。

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