2022年11月8日

離職する社員を減らしたい!仕事の満足度を上げる秘策!従業員エンゲージメントとは?【図解付き】

人材育成 組織開発

「離職率の高さに困っている」「中途社員が定着してくれない」「社員からやる気を感じない」このようなケースに悩む経営者の皆様は多いのではないでしょうか。

社員のモチベーションを高めることは会社の成長を左右する重要なテーマです。ただし、やる気に溢れる人材が集まった集団は、会社をより良く発展させるとわかっていても、そういった集団を作り上げることは簡単ではありません。

では、どうすればやる気に溢れる社員、結束力の高い組織が作れるのでしょうか?今回は社員を成長させる秘訣、従業員エンゲージメントについて解説したいと思います。

 

給与アップは意味なし!? 待遇改善が社員にもたらす影響とは

離職する社員の心を繋ぎ止めたい。そもそも離職したいと思ってほしくない。そのための手段として給与アップをはじめとする「待遇改善」を考える人は少なくないでしょう。

しかし、給与を2倍にしたからといって売上が2倍になったという話は聞いたことがありません。また、一度給与を上げてしまうと下げることが困難なばかりか、下げればこれまで以上に社員のやる気を失う要因となります。

給与のアップは一時的なカンフル剤としては有効ですが、社員のモチベーションを継続的に向上させることはできない、と言えるのではないでしょうか。

 

もう少し解説します。

例えば、ある社員の年収を500万円まで上げたとします。それが自社でできる限界の額です。しかし、別の会社で年収600万円のオファーがあれば社員は転職してしまうかもしれません。このように、好待遇を準備することは他社でも可能であり、離職を防ぐ有効な手立てとは言えないのです。

CAREER INDEXが発表した調査によると、転職者が会社選びで重視するポイントの第1位は若手、ミドルどの年代においても「給与」であるという結果が出ています。給与という手段で社員の気持ちをコントロールするためには他社を圧倒する高待遇が必要になるのです。


不満足の解消にしかならない待遇改善

アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した「二要因理論(動機付け・衛生理論)」をご存知でしょうか。仕事において、満足に関わる要因不満足に関わる要因は別物であるという理論です。

1959年、約200人のエンジニアと経理担当事務員に対し、「仕事上で幸福(満足)を感じたこと」「仕事上で不幸(不満)を感じたこと」を調査しました。

仕事に満足を感じる要因
・目標を達成した時
・承認された時
・仕事内容
・責任ある仕事を任された時
・昇進した時
→仕事そのものに対して満足を感じる傾向がある

 

仕事に不満を感じる要因
・会社の経営方針
・上司の管理技術
・上司・同僚・部下との人間関係
・給与
→仕事を取り巻く環境に対して不満を感じる傾向がある

 

この結果から、給与をはじめとする待遇の改善は、不満足を解消することはできても「この仕事を選んでよかった!」と充足感を得ることはできないのです。賞与や給与に対して期待させることを「ニンジンをぶら下げる」とよく言いますが、実際には「ニンジン」にすらなりえるか定かではありません。


離職を防ぎ、業績を向上させるには「従業員エンゲージメント」を高めることが重要

では、待遇の改善以外に社員の満足度を上げるにはどうすれば良いのでしょうか?その答えは、「従業員エンゲージメント」を高めることです。

従業員エンゲージメント(Employee Engagement)とは、「会社に貢献したい」という従業員の自発的な意欲のことです。

会社への愛着や、仕事への情熱の度合いと言い換えてもいいでしょう。従業員エンゲージメントが向上すると、売上・純利益の伸長率が高くなり退職率が低くなるという研究結果も報告されています。

 

従業員エンゲージメントを構成する要素

従業員エンゲージメントを高めるためには以下の4つの要素があります。

要素1 【理念・方針】
明確な理念、長期ビジョン、経営計画、企業の成長性、企業ブランド、社会貢献(感)など会社の進むべき方向性を明確にすることです。思いに共感する結束力が大きなパワーとなります。

 

要素2 【人材・風土】
風通しの良い風土、若手の活躍、魅力的な先輩、経営陣の魅力、人柄、人材育成計画など一緒に働く仲間が魅力的であったり、若手が活躍していることで将来性を感じられたりするとエンゲージメントの向上につながります。「この組織で働いていれば着実に実力がつく」といった自身の成長を感じられるかどうかもポイントです。

 

要素3 【活動・成長】
事業優位性、事業領域の広がり、仕事のやりがい、商品・サービス、顧客との関係性、DX推進など、やりがいのある職場であることもエンゲージメントの向上に大切です。

 

要素4 【待遇・特権】
給与が高い、休みが多い、福利厚生が充実した企業で働けるというのも要因です。

 

ただし、待遇で従業員エンゲージメントを高めている企業は多くありません。なぜなら潤沢な資本が必要であること、他を圧倒する待遇が用意できるかどうかが必須条件になるからです。例えば、『年収相場が500万円の業種に年間1000万円払えるか』、といった価格競争になるため、中小企業においては現実的ではありません。

従業員エンゲージメントを高めるには、特に「理念・方針」「人材・風土」「活動・成長」の3つに注力することが重要です。

 

 

従業員エンゲージメントを向上させるために会社が取り組むべきこと

では、どうすれば「理念・方針」「人材・風土」「活動・成長」が魅力的な企業になるのでしょうか。

理念・方針の魅力を高める【組織開発】
組織開発とは、会社で働く人々が自らの手によって組織をよりよくしていくことです。

組織開発に有効な手段には以下のものがあります。
・ビジョン・クレドの策定・浸透
・従業員満足度調査・分析
・組織図づくり
・知的資産経営報告書の作成(会社の強みの深堀)

 

人材・風土の魅力を高める【人材開発】
人材開発とは、個人のスキルや知識を向上させ、人材一人ひとりにアプローチして能力を伸ばすことです。

人材開発に有効な手段には以下のものがあります。
・新入社員のオンボーディングサポート
・スキルマップの作成
・個人理念・行動宣言の作成
・人事制度の構築・見直し
・1対1面談(1on1)の実施

 

活動・成長の魅力を高める【管理職サポート】
管理職サポートとは、実際に部下をマネジメント・育成する管理職の負担を軽減させ、取り組みを充実させる会社からのサポートのことです。

管理職サポートに有効な手段には以下のものがあります。
・1対1面談(1on1)の仕組みづくり
・管理職研修
(考課者訓練、1対1面談研修、部下とのコミュニケーション研修、ハラスメント研修等)

これら従業員エンゲージメントを向上させる施策を実施する際には組織開発、人材開発、管理職サポートの順で行うとより効果的です。

・ビジョン・クレドについて詳しく知りたい方は⇒クレドが社員の意識を変える! 基本の「き」から徹底解説

・オンボーディングについて詳しく知りたい方は⇒辞める社員を減らしたい!離職率改善の秘策、オンボーディングとは?メリットや進め方、事例を詳しく解説【資料付き】

・1対1面談(1on1)について詳しく知りたい方は⇒【テンプレートあり】やる意味のない1対1面談はもう終わり!目的・進め方・失敗しないポイントを大公開!

 

従業員エンゲージメントの向上策はスモールステップが基本

実際に上記の取り組みを始めようと思っても、全てを一度に始めることはおすすめではありません。現場に負担がかかり過ぎて、失敗するケースが多いからです。そのため、できるところからスモールステップで始めるのが良いでしょう。

一つ例をご紹介しましょう。

ステップ1【従業員満足度調査】
従業員が仕事の何に満足し、不満を持っているのかを調査します。経営層、管理職がなかなか気づけない現場のリアルな課題を明らかにすること、改善策を立てることが目的です。

 

ステップ2【管理職研修】
現場の課題が浮き彫りになったら、対策を講じる前に管理職への研修を実施します。話し方や伝え方によるハラスメントリスクを低減させ、部下とのコミュニケーションを円滑に進めるための研修です。何を部下に伝え、どういった方向に導きたいのかを全体を通して共有することができます。

 

ステップ3【1対1面談】
上司と部下が1対1で定期的に行う面談です。現場の課題解決やモチベーション低下の事前察知、一人ひとりに合わせた人材育成に有効な面談です。

 

 

組織の醸成は後回しにせず全社で取り組む!

日々仕事をしていると、どうしても売上やお客様へのサービス向上などに目が行きがちになります。しかし、人や組織の課題解決は決して後回しにすべきではなく、積極的に取り組むべきです。

また、人間関係は「これをすれば100%解決する」というものではないので、長い目で継続的に行う必要があります。

一部の部署だけが取り組むと「なぜあの部署だけ」と不満が募る要因となったり、間違った認識が広まる恐れがあるため、経営者を含め全社で改善を目指すことが大切です。

 

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著者情報

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役 人材開発コンサルタント

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役 人材開発コンサルタント

市丸 純子

2013年TOMAコンサルタンツグループ入社。現在はグループ内の長期ビジョン実現に向けた特別プロジェクトのマネージャーを務め、自社内の組織開発・人材開発に携わる。また、その経験を活かし、「100年企業を創る」をモットーに、多くの中小企業に向けて人材開発コンサルティングを提供している。

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