2023年5月2日

【チェックリスト付き】会社の離職率が高くなる“よくある原因”とは? 職場改善で離職率を下げよう

採用 組織開発

あなたの会社の「離職率」はどのくらいでしょうか?

採用には多大なる労力と費用がかかりますが、その結果採用した社員がすぐにやめてしまう状況では、会社の継続的な成長は望めないでしょう。

今回のブログでは「離職率が高すぎる」と悩んでいる企業の人事担当者様に向けて、その原因や改善の方法をご紹介します。

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入社希望者も注目する「離職率」

新たな職場を探すにあたって、希望する業界や会社の離職率を気に掛ける人が増えています。

離職率を一般公開している企業は少ないものの、インターネット・書籍の情報などにより、大まかな離職率が察知されることもあります。

また、最近では退職した元社員の声が投稿されている口コミサイトの利用者も増えており、離職率だけでなく、(正しいか、正しくないかに関わらず)職場の働きやすさ、仕事のやりがいなどが会社の外からも知ることができます。

せっかく応募者に業界や会社に興味を持ってもらえたとしても、自社の離職率が高すぎる状態が続けば、新たな人材を集めづらくなってしまいます。

また、入社した後も定着せず戦力になる前に退職してしまうこともあると思います。そのような状況では、せっかくかけた費用と時間が無駄になってしまいます。

そのため、もし自社の離職率が他の企業よりも高かったり、以前と比べ自社の離職率が上昇していると感じられるのであれば、社風、福利厚生、社内制度、人間関係などのどこに問題があるのかを分析し、必要な対策を練らなくてはなりません。

 

そもそも離職率とは何か?

離職率とは、ある仕事に就いていた方が1年後や2年後など特定の期間を経た後で、どの程度就業し続けているかを示す指標です。

まずは、離職率の計算方法について確認しておきましょう。離職率は一般的に、以下の公式で算出されます。

離職率 = 離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数×100(%)

ただし、離職率の定義は法律で規定されているわけではないため、企業によって算出方法が異なる場合もあります。

ちなみに、「3年で3割」というキーワードがよく使われることはご存じでしょうか。新卒者の中で3年以内に離職する人は3割に上る傾向があると言われています。

なお、令和5年発表の厚生労働省の調査によると、新規学卒就職者の就職後3年以内離職率は、高校卒業者は37.0%で、大学卒業者は32.3%とのことです。

事業所規模が小さくなるほど離職率が高くなる傾向があり、事業所規模99名以下になると離職率は4割~6割にまで上ります。

 

離職率が高いことによるデメリット

離職率が高くなることで、企業にとってはどのようなデメリットが生じるのでしょうか。

(1)採用コストが無駄になる

新たな人材を雇うために、それなりの採用コストがかかります。採用担当者が時間と手間をかけ、採用活動に必要な費用をかけたとしても、新たに雇った人材がすぐに離職してしまえば意味がありません。また一から採用活動がスタートとなり、余分な採用コストが必要となってしまいます。

(2)教育コストが無駄になる

新人が仕事を一人前にこなせるようになるまで、他の社員が指導にあたる必要があります。しかし、一人前になる前に離職してしまえば、教育コストが無駄となってしまいます。

(3)後続が育たない

人の入れ替わりが激しければ、後続がなかなか育ちません。社員の平均年齢も段々と高くなり、高齢化も進んできます。

(4)社風の悪化

頻繁に人が出入りしている会社にいる社員は、転職することに抵抗がなくなります。結果的に、辞める社員以外の社員のモチベーションも低下し、全体的に活気が薄れてきます。

職場の課題に対して、「この会社をより良くしよう」という改善の気持ちよりも「この会社から離れよう」という気持ちが高まってしまう傾向があります。

このように、離職率が高い会社は、社員の離職によりコストがかかり、人が育たず、売上も上がらず、雰囲気も悪くなる、という悪循環を生みます。

 

離職率が高い会社の特徴

たとえ同じ業界であったとしても、会社によって待遇や職場環境は大きく異なります。離職率が高い会社には、どのような傾向があるのでしょうか。

ここでは、離職率が高い会社の特徴について考えていきましょう。また、それらの特徴の「緊急度」と「重要度」のランクも合わせてご紹介します。

<早急に改善が必要なケース(緊急度★5・重要度★5)>

(1)労働時間が著しく長い

離職率の高い会社の多くが、長時間の残業を当たり前としています。「残業をしなければ評価が下がる」「上司がまだ残っているので部下も帰れない」など、古い体質が組織風土としてそのまま残っている傾向があります。

(2)給料が著しく安い

世の中には、労力に見合う給料が支払われない会社も数多く存在します。もし勤務時間が長めに設定されていたとしても、それに見合う給料が支払われていれば納得できるかもしれません。

しかし、たとえ残業したとしても残業代がまったく支払われず、アルバイト以下の賃金で生活しなければならないケースもあります。

当然ながら、労働時間や環境に見合った賃金が支払われなければ、モチベーションが下がってしまうでしょう。「やりがいのある仕事だから」と給料が低くても我慢してしまう人もいますが、生活が苦しいレベルとなれば大きな問題です。

(3)ハラスメントが頻発している

パワハラ、セクハラ、モラハラなど、職場で起きるハラスメントにも十分に注意しなくてはなりません。ハラスメントが頻繁に起きる環境であれば、社員の生産性は低下し、仕事へのモチベーションも失われてしまいます。

ハラスメントの程度によっては、心身のバランスを崩して休職、もしくは離職という結果につながることもあります。

社員同士のコミュニケーションの強化は大切なことです。しかし、その言動・行動の中にハラスメントが含まれていないか、他の社員から見えないところでハラスメントが発生していないかをチェックすることが肝心です。

ハラスメントに対して、適切に対応できるように会社全体で意識を高めていく必要があります。

(4)求人票と仕事内容が異なる

求人票や求人広告で紹介されている情報が、実際の仕事内容と異なるケースも少なくありません。

人材を集める段階では好条件のみ掲載しているものの、働き始めてから条件が虚偽だと分かるケースもあるのが大きな問題です。

採用が決まっても、求人票や求人広告と条件が異なる労働条件通知書を突き付けられ、困惑するケースも存在します。

この場合、最初の段階で会社への信頼度が低下していますので、離職率が高くなるのも当然のことです。

 

<じっくり改善が必要なケース(緊急度★3・重要度★5)>

(5)休日が少ない、有給休暇が取りにくい

仕事に対して意欲的に取り組むためには、休日に心身を休めることが大切です。そのため、休みが極端に少なかったり、長期休暇をなかなか取れなかったりすると、プライベートの時間を十分に確保できなくなってしまいます。

休日出勤が多い、休み中も電話待機が必要であるなどの状況が続けば、離職する人が増えるのも自然なことでしょう。

また、有給休暇の取りやすさも非常に重要です。たとえ有給休暇が残っていたとしても、利用できる雰囲気ではない会社も存在します。

(6)職場の人間関係が悪い

仕事内容に不満がなくても、職場の人間関係が上手くいかず、離職を選択する人もいます。職場内でのハラスメントや嫌がらせが続けば、会社で過ごすことが苦痛となり、仕事を続けられなくなってしまうこともあります。

職場の人間関係は、特にリーダーとなる人の気質が重要です。人の好き嫌いが激しい、理不尽な理由で強く叱責する、質問に答えず無視するなど、適切でない対応を取る人がリーダーになった場合、その職場の離職率が高くなってしまいます。

(7)社風が悪い

社風が悪い会社は離職率が高くなる傾向があります。例えば、トップダウンが強く、社員が意見を言いづらい、風通しが悪いといった社風が根付いてしまっていると、これにより職場の人間関係が悪くなったり、自主性が尊重されないために仕事にやりがいを感じられないなどの悪影響を個人に与えます。

このように、社風が離職の原因に繋がってしまうことがあります。

また、最近では「ゆるブラック企業」という言葉が話題になっています。「ゆるブラック企業」とは、残業なども少なく働きやすいが、会社に将来性がなく、会社全体に新たな挑戦をする雰囲気もない、自身のスキルアップも見込めない、というような会社を指します。

向上心のある人にとっては、このような社風が苦痛になり転職を選ぶケースもあるようです。

 

<社内制度の見直しが必要なケース(緊急度★3・重要度★4)>

(8)社内教育制度が整っていない

せっかく新人が入社したとしても、社内教育制度が不十分であれば、離職率が高くなってしまいます。

また、新人を一人前の社員に育てるためには、質問の対応や指導を担当するメンターを担当できる人が必要です。しかし、社員それぞれが仕事を多く抱えていると、新人への指導に十分に時間を割けないケースもあります。

(9)評価制度が整っていない

自分が一生懸命取り組んだ内容に対して、評価されたり褒められたりすると、モチベーションが上がるものです。社員がやりがいを見つける、目標を定めるという意味でも、評価制度の整備が重要となってきます。

「どれだけ頑張っても何も評価されない」「ノルマを達成しても給料が変わらない」「自分よりサボっている人がいるのに給料が同じ」など、納得できない理由が増えれば増えるほど、仕事への意欲は低下し続けます。

「評価制度が存在しない」「形だけで意味をなしていない」などの場合は、いま一度制度の見直しを行いましょう。

(10)福利厚生が少ない

福利厚生の充実度も、社員のモチベーション向上に大きくかかわります。レクリエーション関係の制度が充実していれば、休日の楽しみが増え、社員の満足度がアップするでしょう。

また、交通費や住宅手当など基本的な福利厚生だけでなく、出産・育児・介護をサポートする制度が整っているかも重要です。

どれだけ優秀な人材だとしても、家庭の事情により離職せざるを得なくなる人もいます。そのような人をフォローする制度が整っていれば、予期せぬ人材流出を防ぐことができるでしょう。

 

離職率を下げる施策5選

社内の人材を定着させるためには、どのような対策を取ればよいのでしょうか。最後に、離職率を下げる方法について解説します。

 

(1)匿名で従業員満足度調査を行う

経営者や人事担当者からは、現場で出ている不満が見えづらいこともあります。社員の本音を知るために、匿名で従業員満足度調査を行うのも一つの方法です。

回答を集めたら、結果を分析して自社の課題を明確化しましょう。給料や休日を増やすといった不満に対して、完全に社員の要望通りに叶えるのは難しいかもしれません。

そのため、取り組むべきことを取捨選択し、優先順位をつけて対応していきましょう。この時に、取り組まないことについては、その理由をきちんと社員に向けてフィードバックできると溜飲を下げることに役立ちます。

(2)会社のビジョンを示し、変革することを宣言する

先述したように、離職率が高いことは会社にとってデメリットがたくさんあり、また人材は会社にとって重要な経営資源です。離職率改善は重要な経営課題として経営者が真剣に取り組むべきです。

そのため、これに取り組むにあたっては、どんな会社を目指すのか明確にし、トップメッセージとして社員に伝えることが大切です。これにより、取り組みに軸ができ、社員のモチベーションアップに役立ちます。

また、会社のビジョンを示すことにより、この会社は成長を続ける企業であること感じることができれば、社員もこの会社と一緒に成長したいと思い、会社に残ることを選択してくれるでしょう。

(3)労働環境を見直す

まずは、現時点での労働環境を見直し、何が問題なのかをチェックすることが大切です。社員が次々に辞めていく原因は、もしかしたら一つではないかもしれません。給料や労働時間、仕事内容、職場の人間関係など、さまざまな理由が考えられます。

いま一度、社内の様子をくまなく見直してみましょう。自社の基準に捉われず、「他社の労働環境はどうなのか」といった視点から考えることも必要です。

もちろん、社員の要望をすべて聞き入れるのは難しいかもしれません。しかし、一つひとつの問題が解決されていけば、「今後は働きやすくなるかもしれない」という希望が生まれます。

過去に辞めていった人の理由もふまえて、働きやすい環境を整えていきましょう。

(4)社内制度を見直す

現代に合わせた形で福利厚生を充実させたり、休暇が取りやすくなったりすれば、社員の満足度が向上するでしょう。また、社員のモチベーションを維持するため、適切な人事評価制度も必要です。

社内制度を見直すとなると、それなりのコスト(時間と費用)がかかるものです。しかし、社外への人材流出が止まらず、新人が定着しないとなれば、会社の存続が危ぶまれる可能性さえ出てきます。

離職率を下げるためにも、社員のワーク・ライフ・バランスやモチベーションに配慮した制度を整え、人材の定着・確保を目指しましょう。

(5)必要に応じて外部の力を借りる

経営者や人事担当者が社員の状況を把握したり改善策を考えたりするのは、時間もかかりますし大変です。

必要に応じて外部の力を借りてみましょう。外部のコンサルタント等を活用することにより、客観的な課題を分析したり、他社事例を参考にすることができます。

また、つい後回しにしてしまう「急ぎではないが重要な事項」が後回しにならないよう、コンサルタントに取り組みの推進役を依頼することもできます。

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まとめ

すでに離職率が高い場合、何か一つの施策を行えばすべてが解決するわけではありません。多方面から課題を洗い出し、可能な手を可能な限り打ち続けなければ、なかなか改善されません。

自社の社員が立て続けに離職している場合、まずは自社の組織の現状を見直してみることが重要です。自社には何が必要なのか、是非検討してみてください。

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組織の課題を見える化‐人材定着のためのチェックリスト

あなたの会社に埋まっている課題を、簡単なチェックリストで「見える化」しましょう。

チェックした数からあなたの会社の組織改善ランクが分かります。チェックの数が「18~20個」と多かったら人材が定着しやすい組織といえるでしょう。継続して改善していきましょう。

反対に、チェックの数「5個以下」と少なかったら、要注意です。至急、組織改善が必要な状態であり、改善の種がたくさん埋まっています。できることから始めましょう。

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