昨今、上司と部下との定期的な面談の場として、1対1面談(1on1)が注目を集めています。
1対1面談の進行方法や話し方、コミュニケーションの取り方についての書籍・情報は巷にあふれていますが、実際に1対1面談を行う管理職・上司の皆様が感じる悩みは「面談で何を話したらいいのかわからない」ということではないでしょうか。
そこで、本ブログでは、1対1面談のセオリーは理解しているが、「面談で何を話したらいいのかわからない」と困っている管理職・上司の皆様に、部下を理解するための「深掘り質問」の例をお伝えします。
1対1面談(1on1)は「部下のための時間」
「部下のための時間」というのは、管理職が目の前の部下のことだけを考えるための時間ということです。「部下のことを考える」ためには、まずは「部下のことを知る」ことが必要です。
では、部下のことを知るために、管理職はどのようなことを聞いたらよいのでしょうか。ここが悩ましいポイントです。
知っておくべき項目として以下の観点が挙げられます。皆様は部下のことをどこまで理解しているか考えてみましょう。
①生活スタイル
②行動の癖
③思考の癖
➃仕事の進め方
⑤こだわり
⑥好み・苦手なこと
⑦仕事に対する姿勢
「深掘り質問」で部下を理解する
部下に適切に業務を割り振り、適切な成長を促す上で知っておくべきことがあります。
あまり踏み込みすぎると、仕事と関係のない事柄まで踏み入ってしまうため注意が必要ですが、部下に対する理解を深めるためには、たくさんの「深掘り質問」をしなければなりません。その一部をご紹介します。
①生活スタイルについて
部下の基本的な生活スタイルを理解することで、精神的な変化があった場合に対応がしやすくなります。
―一人暮らしかどうか(在宅勤務の環境を考慮する必要があるため)
—家族構成(介護や育児にどの程度時間を費やすか、家族の協力を得られるかによって、勤務時間を配慮する必要があるため)
—通勤時間はどの程度か(通勤時間が長すぎたり、電車が混みすぎていると、通勤がストレスとなる可能性があるため)
—朝型か夜型か(普段の活動時間が、業務効率に影響することがあるため)
—健康について自己管理ができるかどうか(体の不健康は心の不健康につながる可能性があるため)
—生活や人生の中の仕事の位置(何を優先しているかでキャリアビジョンの描き方が異なるため)
など
②行動の癖
部下の行動の癖を理解することで、指示の仕方に工夫をすることができたり、より適切な業務にアサインすることができます。またチーム構成を検討する際のヒントにもなります。
また、普段の行動の癖が原因で問題が発生した場合は、その原因追求が進めやすく、改善するための解決策の検討もスムーズになります。
—指示された後の行動は、自分で調べるか、事柄を整理するか、周囲の人に相談するか
―メールチェック後、速やかに返信できるか、何日か置いて返信するか
―思いついたらすぐに行動するか、じっくり考えてから動くか(新しいものに対する抵抗感があるか、正確に進めることを重視しているか、スピードを重視しているか)
―期限ある業務に対する取り組みは、指示されたらすぐに取り組むか、期限ギリギリに取り組み始めるか
—考えを自主的に発言したいか、発言することに抵抗があるか
など
③思考の癖
思考の癖を理解することで、部下ごとに適した指示が可能になります。思考の癖を無視して指示をすると、すれ違いや勘違いが生じます。
―問題に対して原因から考えるか、理解しないまま前に進むか
―ロジカルシンキングができるか、できないか
―森を見てから木をみるか、木だけを見て森が見えないか
など
➃仕事の進め方
仕事の進め方は人によってタイプが異なります。どのようなタイプかを把握することで、何を管理すべきかを知ることができます。
—顧客からの質問等に対する回答に困った場合、すぐに上司に相談するか、いったん自分で調べて整理するか、しばらく放置するか
—todo管理は日単位で行っているか、週単位か、管理しないか
—業務の量が適切か、適切でないか(いつもバタバタしているか、時間を持て余しているか)
—残業が苦痛に感じるか、苦痛ではないか
など
⑤こだわり
こだわりを変えることはなかなか難しいです。一方でこだわりに沿った内容は受け入れられやすいという面もあります。部下がどのようなことにこだわりがあるかを認識することで、押さえるべきポイントが明確になります。
―ルールをきちんと守りたいタイプか
―他人の行動が気になるタイプか
―承認欲求が強いタイプか
―憧れの先輩はいるか
など
⑥好み・苦手なこと
好きなことや長所を伸ばすサポートをするためにも、部下の好み・苦手なことを知る必要があります。
―一番楽しいと思う時間はいつか
―得意なことは何か(事務作業、資料作り、コミュニケーション、アイデアを考えることなど)
―苦痛を感じるのはどのようなときか
―苦手意識を感じるのはどのようなことか
など
以上が、部下に対する理解を深めるための「深掘り質問」の例でした。
部下の現状は日々変化する
ここまでで挙げた「知っておくべき項目」と「深掘り質問」は、ほんの一部ですが、皆様は部下のことを理解できていたでしょうか?
理解できていない…という方は、これから実施する1対1面談でたくさん質問をしましょう。
また、部下の現状は変化する、という点が難しいところです。
日々の業務や生活の中で、成功や失敗の経験を積むことで、部下の状況は変化します。変化がないかどうか、どのような変化があるかについて把握することも1対1面談を実施する目的の一つです。
過去に聞いた内容から変化があるかどうかを、定期的な1対1面談で確認しましょう。
TOMAでは1対1面談の進め方に関するサポートを行っています
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TOMAグループでは、会社ごとの課題に合わせて、1対1面談の進め方に関するコンサルティングや1対1面談が苦手な管理職向けのサポートを行っています。お困りの方はお気軽にお問い合わせください。
1対1面談に役立つ書籍のご紹介
最後に、TOМAコンサルタンツグループ会長の藤間 秋男による、1対1面談を上手く進めるためのヒントが詰まった書籍をご紹介します。
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第5章 面談トーク 7つのテクニック
第6章 1対1面談ケーススタディ
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著者情報
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役 人材開発コンサルタント
市丸 純子
2013年TOMAコンサルタンツグループ入社。現在はグループ内の長期ビジョン実現に向けた特別プロジェクトのマネージャーを務め、自社内の組織開発・人材開発に携わる。また、その経験を活かし、「100年企業を創る」をモットーに、多くの中小企業に向けて人材開発コンサルティングを提供している。