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事業承継における知的資産経営引き継ぎのポイント

記事作成日2017/05/31 最終更新日2021/06/24

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事業承継時は、会社全体のノウハウ、人材、資産をすべて承継することになります。すべてを承継する、となると承継する側もされる側もいくら準備をしても足りません。優先順位をつけて、重要なことを確実に伝えることがポイントです。

ここでは知的資産を引き継ぐツールを紹介します。

(1)知的資産経営とは

「知的資産」とは?「知的資産経営」とは?を説明した上で、事業承継における知的資産の引き継ぎの重要性について説明してください。

(2)知的資産経営報告書

「知的資産経営報告書」とは、会社がもっている強みを「見える化」し、その強みを経営に生かすためのレポートです。

財務状況は、決算書をみれば一目瞭然ですが、多くの中小企業には決算書に現れない強みがあります。

通常、社外には分かりにくい「強み」を分析、把握し、それをどのようにして経営に生かしていくか、ということをまとめます。

○知的資産経営報告書作成の目的と開示対象

だれのために作成し、だれに開示するのかということを検討します。それにより、どのような情報までを盛り込むかが決まります。

たとえば、金融機関に強みをアピールするため、あるいは人材採用のために作成する、ということであれば社外の方が見ても問題がない情報を記載します。

広報のため、自社のホームページに掲載する、ということであれば競合の企業も見るということを想定します。

事業承継のために作成する場合は、開示対象は社内のみで、社員が自社の強みを共有するというケースもありますし、事業承継にあたり取引先等へのあいさつ用に作成するというケースもあります。

○知的資産経営報告書の内容

知的資産経営報告書には、主に以下のような事項を記載します。

・過去から現在まで、会社が積み上げてきた資産

→事業に関するノウハウ、商品、人材育成の方法、人材、社外ネットワーク構築、理念

・現状の把握

→社内外の状況(事実とその分析)

・強みをどのように経営に生かしてきたか

・今後強化する強み、資産

・積み上げてきた資産、今後強化する強みをどのように経営に生かしていくか

○知的資産経営報告書の作成の仕方

会社の実情に精通した方が中心となって行う必要があります。

この作成の過程で、現経営者と後継者が参加することで、会社の強みを後継者に伝える場にもなります。

先代がこれまで積み上げてきた資産を今後どのように経営に生かしていくかについて、後継者が考える機会にもなります。

コンサルタントが第三者的立場で、取りまとめることでより客観性のある報告書を作成することができます。

(3)事業引継ぎノート

後継者にとって、事業を引き継いだときに、まず困ることは、何から手をつけたらいいのか、誰に連絡をしたらいいのかということです。

何から手続きをし、だれにあいさつ文を出し、だれに相談したらいいのか、ということを事前に整理しておくことで、手続きに迷う時間を削減することができます。また事業を承継する側もより安心して引き渡すことができます。

また、先代から後継者や社員へのメッセージも一緒に残しておくことで、事業承継のスタート時の心得を伝えることができます。

次のような内容を整理して、残しておくことをお勧めします。この際、法的な手続きもありますので、専門家のアドバイスを受けながら作成するほうが確実です。

【記載事項】

以下の内容について、いつ、だれに、なにを、どのように、どの順番で行うかを記載する。

・資産の取り扱い

・金融機関への対応

・取引先への対応

・従業員への対応

・緊急時の社内体制

・重要な連絡先

以下の事項について、伝えたいことを記載する。

・経営方針・運営方針

・経営、運営の要望

・先代から社員、後継者へのメッセージ

要望があれば、以下の事項も記載する。

・将来の株主構成

・将来の役員構成

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