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産業廃棄物の種類 ~一般廃棄物の違いと間違いやすい産業廃棄物の種類~

記事作成日2017/04/04 最終更新日2021/10/15

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「産業廃棄物処理業の許可を取得して起業したい」、「会社の総務担当として、廃棄物の処理についての事務手続きを任された」。理由は様々ですが、廃棄物に関わることになった方々が最初にぶつかるのは、「産業廃棄物とは何か」という問題ではないでしょうか。

廃棄物について定めた法律である廃棄物処理法では、産業廃棄物は20種類に分類されています。ある廃棄物がどの種類にあたるのか、判断に迷う場面も多いものです。

以下では産業廃棄物の定義と、間違いやすい産業廃棄物の種類について解説します。

【産業廃棄物とは何か】

廃棄物は、廃棄物処理法上、産業廃棄物と一般廃棄物に分類されます。大まかに言えば、産業廃棄物は事業活動に伴って発生する廃棄物であり、一般廃棄物は一般家庭から発生する廃棄物です。

ただし、事業活動に伴って生じる廃棄物の全てが産業廃棄物となるわけではありません。20種類に分類される産業廃棄物の中には、特定の業種から排出された場合のみが産業廃棄物となり、それ以外は一般廃棄物となるものがあります。

産業廃棄物、一般廃棄物の中でも、爆発性、毒性、感染性があり、人の健康や生活環境に被害を生じさせる危険性のあるものは、特別管理産業廃棄物、特別管理一般廃棄物として分類されます。

【産業廃棄物の種類】

産業廃棄物は、以下の表のように20種類に分類されます。

No 種類 主な具体例 指定業種
1 燃え殻 焼却炉の残灰 無し
2 汚泥 洗車場汚泥 無し
3 廃油 洗浄油、潤滑油 無し
4 廃酸 廃硫酸、廃塩酸 無し
5 廃アルカリ 写真現像廃液 無し
6 ゴムくず 天然ゴムくず 無し
7 金属くず 研磨くず 無し
8 ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず レンガくず 無し
9 鉱さい 鋳物廃砂 無し
10 廃プラスチック類 合成樹脂くず 無し
11 がれき類 コンクリート破片 無し
12 紙くず 紙くず 建設業等
13 木くず おがくず 建設業等
14 繊維くず 木綿くず 建設業等
15 動植物性残さ 固形状の植物不要物 食品製造業等
16 動物のふん尿 牛、馬等のふん尿 畜産農業
17 動物の死体 牛、馬等の死体 畜産農業
18 ばいじん 集塵装置の付着物
19 動物系固形不要物 獣畜の固形状不要物 と畜場等
20 産業廃棄物等を処分するために処理した物 コンクリート固化物

【間違いやすい産業廃棄物の種類】

まず、そもそも産業廃棄物にあたるのか、それとも一般廃棄物なのか迷うケースがあります。例えば、紙くずは産業廃棄物の種類の一つです。しかし、建設業やパルプ、紙の製造業以外から排出される紙くずは産業廃棄物にはあたりません。オフィスで発生する紙ごみは、(事業系)一般廃棄物です。

また、廃タイヤは、ゴムが使われていることからゴムくずのようにも思えます。しかし、産業廃棄物の種類としてのゴムくずは天然ゴムに限られます。従って、廃タイヤのような合成ゴムは、廃プラスチック類に分類されます。

他にも蛍光灯を廃棄しようとする場合、金属くずとガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くずの混合物とされることが多いです。しかし、自治体によっては、封入されている水銀ガスが粉状になったものを汚泥として扱い、汚泥と金属くず、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くずの混合物とされることもあります。

【産業廃棄物の種類を間違えてしまうとどうなるか】

産業廃棄物を処理するためには都道府県知事からの許可が必要です。その許可は産業廃棄物の種類ごとになされます。産業廃棄物の種類を間違えて、その種類の許可を有していない処理業者に処理を委託してしまうと、無許可業者への処理委託として廃棄物処理法に違反してしまうことになりますので注意が必要です。

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