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産業廃棄物の処理方法について~収集運搬、中間処理、最終処分の違い~

記事作成日2017/04/04 最終更新日2021/08/18

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「産業廃棄物は適正に処理されなければならない」、このような言葉を耳にする機会があるかと思います。しかし「処理」という言葉はとても抽象的で、イメージが掴みづらいものです。そもそも、廃棄物が「処理」されるとはどのようなことを意味するのでしょうか。廃棄物の「処理」について解説します。

【廃棄物処理の3つの原則】

廃棄物の処理とは、廃棄物を、①安全化、②安定化、又は③減量化することです。①安全化、②安定化、③減量化のうち、どれか一つに該当しなければ、廃棄物が処理されたとはいえません。廃棄物処理の3原則です。

例えば、廃酸や廃アルカリを中性にする「中和」という方法は、①の安全化にあたります。汚泥や燃え殻、ばいじんにコンクリートを混ぜあわせて固める「コンクリート固化」という手法は、廃棄物の性状を安定化させるので、②安定化に該当します。破砕機で廃棄物を砕く行為は、廃棄物の容量を減らすことができるので、③減量化に該当します。

【廃棄物処理の種類】

廃棄物の処理は、①収集運搬と②処分(中間処理・最終処分)の2つに分類されます。

①収集運搬について

①収集運搬とは、廃棄物をトラックや船などに積み込み(収集)、運ぶことです(運搬)。廃棄物が排出される場所まで行き、廃棄物を積み込み、処分場まで運びます。

収集運搬は、原則として、廃棄物の保管行為を含みません。廃棄物の排出場所から処分場へ直行する必要があります。事業として産業廃棄物の収集運搬を行うことを産業廃棄物収集運搬業といい、これを営むためには都道府県知事から許可を取得する必要があります。

収集場所、運搬先が管轄する都道府県の許可が必要ですので、たとえば、埼玉県の廃棄物を収集し、千葉県の処理施設に運搬する場合、埼玉県と千葉県の許可が必要です。

②処分(中間処理)

中間処理は、焼却炉や破砕、圧縮施設などゴミ処理工場のイメージです。中間処理の方法に限定はありません。廃棄物が①安全化、②安定化もしくは③減量化される行為は、全て中間処理にあたります。「選別」、「分級」、「薬剤処理」、「切断」、「混練」、「乾燥」、「脱水」など多くの処理方法があります。

事業として産業廃棄物の処分を行うことを産業廃棄物処分業といいます。これを営むためには都道府県知事から許可を取得する必要があります。処分業の許可を取得するためには、処理施設が必要です。処分業の許可とあわせて処理施設の設置許可も取得することになります。

③処分(最終処分)

最終処分は、埋立と海洋投入に分類されます。国土の狭い日本では、いかに埋立量を減らすか、ということは重要な課題です。中間処理と同様、処理施設の設置許可、産業廃棄物処分業許可を取得する必要があります。

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