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シンガポールにおける仮想通貨の動向

2018.05.24

2018.05.24

■シンガポールにおける仮想通貨の動向

2018年2月6日、シンガポールの副首相を務め、同国の中央銀行であり金融規制機関としても機能するシンガポール金融管理局の局長を兼任するターマン・シャンムガラトナム氏は、現時点で仮想通貨の取引を禁止する必要はないという考えを公表しました。

仮想通貨の動向や潜在的なリスクについて分析を進めてきたという氏によれば、仮想通貨はいまだ実験的な段階にあり、これからも仮想通貨の種類も数も増加傾向にあるため、成功を判断する時期にはないということ。

将来的には、複数の分野にまたがる共通のインフラになるべきで、ブロックチェーン技術の実験が効果をあらわすには少なくとも2年 はかかるであろうという見解を述べています。

仮想通貨については、シンガポール金融管理局の経営責任者であるラヴィ・メノン氏も2018年1月に好意的な意見を語ったばかり。 ただし、その中でも資産価格の激しい変動や価格の暴落によって、価格暗号通貨やブロックチェーンに関する技術の発展が妨げられることを懸念しています。

また、2018年の8月には、シンガポール航空会社が、マイレージプログラムにおいてブロックチェーンをベースにした、デジタルウォレットアプリを世界で初めて導入する予定です 。

このように、シンガポール全体では仮想通貨に対して好意的な見方を行っていました。

ところが、2018年3月に入ると態度を転換。シンガポール金融管理局の財務監督、オン・チョン・ティー副マネージングディレクターは、投資家を保護する目的で、追加的な規制が必要かどうかを検討していると述べ、仮想通貨に関して規制する可能性があることを表明しました 。

国をあげて仮想通貨やブロックチェーン技術を含むフィンテック全般に対して前向きな姿勢をとってきた、シンガポールにおいてさえ、短期間のうちに、政府が対応を変化させる必要があるようです。

仮想通貨の動きがきわめて激しいものであり、どの国においても法整備が不十分であることを物語っているといえるでしょう。

 

■日本における仮想通貨の動向 

日本は、2017年の秋に円建てビットコイン取引がすべての取引のうち過半数を占める など、「仮想通貨大国」などとも呼ばれています。また、2016年の3月4日には、仮想通貨に関する法規制案が閣議決定されました。そこでは、仮想通貨には貨幣としての機能があることが認められ、公的な決済手段に活用可能なものとして明確に位置づけられました。

日本で初めて仮想通貨に関する法規制が施行されたのは、2017年の4月のことです。「資金決済に関する法律」と「犯罪による収益の移転の防止に関する法律」を改正し、仮想通貨の規制に関する法律が誕生しました。「資金決済に関する法律」においては、仮想通貨の売買や他の仮想通貨との交換を行う仮想通貨交換業者を金融庁に登録する制度が導入され、監督強化を進めるとともに、取引所の投資家を保護することを目的とした規定の整備も行われています。

シンガポール同様、仮想通貨に対して前向きなスタンスをとる日本ですが、2018年の1月に生じたコインチェックにおけるXEMの不正出金騒動を受け、仮想通貨取引所への監視は強まる傾向にあります。

例えば、仮想通貨に関連する業界団体は、金融庁の後押しのもとで2月に新団体の設立に合意。

金融庁に登録している16社のみにメンバーを限定し、みなし業者を除外することを発表しました。

3月8日には、金融庁が、ビットステーションら仮想通貨交換業者の2社に業務停止命令を、コインチェックやGMOコインを含む5社に業務改善命令を発表しています。また同月、国内で無登録のまま営業を行っていた香港を拠点とする世界最大の仮想通貨取引所BINANCEに対して、投資家を守る目的から、営業を停止しなければ刑事告発する旨の警告を出す方針を固めました。

依然として仮想通貨に対して寛容な姿勢をとっているシンガポールに対し、「仮想通貨大国」といわれる日本はやや態度を硬化させている印象があります。

 

■シンガポールで運用した仮想通貨の税金の取り扱い 

気になる仮想通貨にまつわる税金の取り扱いですが、これについては国際的なスタンダードと呼べるものがありません。各国手探りなのが現状で、日本では2017年12月に仮想通貨を運用して得た利益を雑所得として扱うことを正式に発表しました。

他方、キャピタルゲインを非課税としているシンガポールでは、他の金融商品と同様、仮想通貨に関しても原則として非課税を認めています。

ただし、仮想通貨売却による利益がキャピタルゲインなのかという判断は、ケースによって異なるとされています。目的やトランザクションの頻度、保有期間などが考慮され、キャピタルゲインとはみなされない場合は課税対象となるので注意が必要です。

 

■まとめ

仮想通貨に関する法整備は不十分であるのが現状で、シンガポールも例外ではありません。

政府の対応も短期間で変化する傾向があるので、仮想通貨の取り扱いには細心の注意が求められるといえるでしょう。

 

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