[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は絵画などの美術品等について減価償却できるのかどうかを日本の税法、シンガポールの税法それぞれについて記載をします。
【日本の税法】
平成27年1月1日以後取得する美術品等については、取得価額が1点100万円未満である美術品等は原則として減価償却資産に該当し,取得価額が1点100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産に該当するものとして取り扱うこととしています(国税庁作成、美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQより)。
なお,取得価額が1点100万円以上の美術品等であっても,「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当する場合は,減価償却資産として取り扱うことが可能となっている一方、取得価額が1点100万円未満の美術品等であっても,「時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの」は,減価償却資産に該当しないものと取り扱われます。
取得価額が1点100万円以上である美術品等であっても,「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」として減価償却資産に該当する例として以下の要件に全て当てはまる資産をあげています。
① 会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として取得されるものであること。
② 移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであること。
③ 他の用途に転用すると仮定した場合に,その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものであること。
客観的に判断しにくいケースも考えられますので、悩まれた場合は税理士さんにご相談ください。
【シンガポールの税法】
シンガポールの税法では金額によって減価償却が可能かどうかの判断をせず、Business Use Test(当該資産が事業に供しているかのテスト)、Premises Test(当該資産が他の資産に附属していないことのテスト)をクリアした資産が、器具備品として扱われ、減価償却が可能になるというルールとなっています(IRAS e-Tax Guide Machinery and plant : Section 19/19A of the Income Tax Act Annex Aより)。
具体的には、絵画でも、ホテルやレストランでお客様に喜んでいただくために飾っている資産であれば、器具備品として扱われ、減価償却できる可能性が高まります。しかし、商品の卸業を行っている会社が高額な絵画を購入した場合には、上記の2つのテストをクリアできないかもしれません。
日本のルールを良くみると、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」の判断とシンガポールのBusiness Use Test(当該資産が事業に供しているかのテスト)が似ていることから、根本的な考え方は似ているのかもしれません。
こちらも客観的に判断しにくいケースも考えられますので、悩まれた場合は弊社シンガポール支店やシンガポールの会計事務所へお問い合わせください。
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