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統括会社をシンガポールに設立するメリット

記事作成日2018/06/29 最終更新日2018/06/29

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■シンガポールに統括会社を置くメリット

企業の活動が国際化するにともない、海外でのスムーズな事業運営を実現するには、業務の集約化や意思決定の高速化、さらには流通の効率化が欠かせなくなってきました。

また、海外事業を日本に拠点をおく親会社が遠隔的に管理しようとすることは必ずしも効率的とは限りません。

そこで、海外の特定エリアに点在する子会社の調整や支援など、海外事業に関する重要な機能を統括するための統括会社が設置されるケースが増えてきています。

一般に統括会社には、営業や販売、マーケティングはもちろん、財務金融や経営企画、人事労務管理にいたる重要な機能が親会社から移管されることになります。

シンガポールに統括会社を置く主なメリットとしては、まずシンガポールがASEANの中心に位置するという地理的な要因が挙げられます。

周辺諸国へのアクセスが便利で、3時間もあれば東南アジア10か国のどこにでも行くことができます。

また、シンガポールは、金融や貿易、物流などのネットワークが整備されているのが特徴です。

世界中から人や物、お金が集まる仕組みが確立した東南アジアのハブとしての機能を持っていることも、シンガポールに統括会社を置く主なメリットといえるでしょう。

英語が堪能な人材を確保しやすいのもシンガポールの魅力の一つです。

世界最大級の語学学校として知られるEF Education Firstが実施した2017年の英語力ランキング調査によると、シンガポールは世界第5位で、アジアでは堂々のトップを獲得しています。

しかも、シンガポールでは英語が公用語として使われているので、周辺のどの国よりもビジネスでの即戦力となる人材が集まりやすいというわけです。

街が清潔で治安がとても良く、生活環境に恵まれていることも見逃せません。

また、シンガポールでは外資を導入し、産業の振興に役立てるため、さまざまな優遇税制が設けられています。

一方で、統括会社がシンガポールに設立されるということは、すなわち日本国内の法人から統括業務がなくなることを意味します。日本の親会社に勤務する従業員から反発が生じることもあるため、事前・事後の人事的な調整も検討されるべきです。

■まとめ

シンガポールに統括会社を設立するメリットは多いですが、上述した注意点に加え、人件費や賃料が高いなど、解決すべき問題も少なくありません。メリット・デメリットを十分に精査したうえで、適切に地域統括会社を活用してください。

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