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海外展開企業向け会計&税務情報

東南アジアの人材市場 シンガポールを中心として その1【TOMAシンガポール支店 公認会計士駐在の会計・税務事務所】

記事作成日2015/02/26 最終更新日2017/01/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに・・・海外進出する企業、海外で働いたことがない方は必見です!】

海外進出するにあたり現地従業員の採用も検討すると思われます。今回及び次回はシンガポールを中心とした東南アジアの人材市場の動向と日本企業が気をつけるべきポイントをお話していきます。

このブログについてはインテリジェンスアジア様のセミナーに参加して得た情報をもとに記載しております。

筆者がシンガポールにきて驚いたのは、日本人とシンガポール人(その他東南アジアの方々)との労働に関する価値観に違いがあることです。

海外進出をされる企業様で失敗するケースとして、現地従業員をうまく活用できないという話があります。価値観がちがうことを認識せず、日本流を推し進めたために失敗しているように思います。

 

【シンガポールの人材マーケットは応募者の売り手市場が続いている】

シンガポールの就職・転職市場は売り手市場となっています。

たとえば、

・新規求人数

2013年第1四半期511,000件→2014年第3四半期674,000件

・失業率

2010年3月2.2%→2014年11月1.9%

・新規雇用件数(雇用契約が成立した件数)

2013年1,363,000件→2014年1,290,000件

という数値を人材紹介会社から聞きました。

 

求人は右肩あがりの状況が続いていますが、人材が不足してきています。上記のように求人が増えている一方で、雇用契約の成立件数は2014年で減少に転じているほどです。

これは、現在シンガポール政府が自国のシンガポール人の保護のため、外国人の受け入れの規制を強化していることが原因です。シンガポール政府は、前回の選挙でシンガポール人保護の政策を唱えた野党側に議席を取られており、外国人受け入れに関しては慎重に考えています。

このため、次回の選挙開催期限の2017年1月ごろまでは、外国人労働者抑制が続きそうです。

 

【転職時には給料が上がるのは当然と思っている】

日本では転職時の希望年収が現年収より高い場合は、それだけで選考から落とすとの話も聞きます。しかし、シンガポールでは転職時に給与が上がると思って応募してくるのが普通で、おおよそ10%程度の給与アップを期待していています。また、転職をしない場合でも人件費は年間5%上昇しています。

 

【東南アジアの各国でも同じような状況の国が多い。最新情報を把握することが大切】

私見ですが、インドネシア・マレーシア・中国・タイなど経済が成長中の国では、日系企業が従業員の採用に苦労したり、人件費や家賃の上昇に驚いたりするのを多く見かけます。特に人件費や家賃の上昇は、日本で働いていると実感がありません。海外進出するにあたっては最新の状況を把握することをお薦めします。

 

【日系企業は人気がない】

驚きのデータがあります。Trendence社が実施したシンガポール新卒大学生の就職人気企業100社をみると日本の企業が1社も入っていません!

上位100社のうち一番人気はシンガポール政府、その次が金融機関等シンガポール企業、そのあとに欧米系企業、最後にマレーシア・韓国といったアジア企業の順だそうです。

 

【なぜ日系企業は人気がないのか?】

シンガポールの大学生からは総スカンの日系企業ですが、不人気の理由は以下のとおりです。

・基本給料が安い。実績を上げても昇給幅がそれほど大きくない。

シンガポール人は年収より月給に注目しています。日本では年収を重視している傾向があり、この点にギャップがあります。

・日本語スキルが必要と思われている

書類等が日本語であることが多く、日本語が出来ないと不利になるのではと思っているようですが、これは単なるシンガポール人の思い込みもあるかもしれません。

・閉鎖的な社風

勤続年数が長い社員が情報を抱えこんだり、独特な社風を作り上げてしまい、新入社員がなじめない。シンガポール人からみると日系企業は独特なムードがあるそうです。

・評価・昇進項目が不明確

どのようなスキルを身につけると昇進・評価されるのかが開示されていない。ちなみにシンガポール企業や欧米企業は客観的に表で示されているそうです。

筆者の経験では日系企業でも物流会社で従業員ごとにスキルが図になって開示されていたのを見たことがあります。図や表になっているとその従業員の特長もわかるという効果もあります。

 

筆者はシンガポール以外に他の東南アジア諸国にも視察に出かけていますが、日本企業に是非就職したいという方はあまり見かけませんでした。日本の文化が好きで日本語を勉強している学生はよく見かけます。しかし、いざ日本企業に入社すると長続きせず退職してしまうケースが多いそうです。

 

【次回へ続きます】

次回は日系企業がどのように採用活動に励めばいいのか、また、東南アジアで現地従業員を雇う上での注意点をお話いたします。

 

【出典】

「シンガポールにおける高度人材採用のコツ」2015年1月30日 

作成:Intelligence Asia Pte Ltd.Senior Recruitment Advisor 大島里絵氏  発行:みずほ銀行 直投支援部

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