[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は、ストック・オプションについてご説明します。
【ストック・オプションとは】
ストック・オプションとは、企業の役員や使用人が、決められた期限内に一定数の自社株をあらかじめ定められた価格で購入できる権利のことをいいます。
たとえば、会社が従業員に対して、1株200円で新株予約権を付与するとした場合、株価が200円より高ければ、従業員は新株予約権を割安な価格で購入でき、第三者へ売却することによって報酬を得ることができます。
下記の図で説明しますと、200円で購入し、600円で売却すれば、差額の金額が報酬(①+②)となります。
資金が十分でないベンチャー企業や、業績に連動した報酬を提示したい場合に使われます。
【シンガポール所得税の定め】
シンガポールでは、ストック・オプションによって得られた報酬に関する課税はどのようになっているのでしょうか。
シンガポールでは、シンガポール法人の雇用に関連して付与されたストック・オプションについては、上記図の①の金額について所得税を課税するとしています。
たとえば、シンガポール法人がその従業員にストック・オプションを付与した場合、その従業員がストック・オプションを行使すると、行使時の株価-権利行使価額、すなわち、①の金額について、その従業員に対する給与とみなして所得税を課税するとしています。
なお、②の金額は、通常キャピタル・ゲインと解釈されるため課税されません。
【Q&A】
(Q1)
私は、日本法人で採用され、現在シンガポール子会社へ出向しています。日本法人勤務時代に付与されたストック・オプションを出向中に行使した場合、シンガポールの課税はどのようになりますか?
(A1)
シンガポールの税法では、シンガポール法人に勤務することへの見返りとして付与されるストック・オプションについて課税するとしています。このため、日本法人に勤務中に付与されたストック・オプションについてはシンガポールでは課税されません。
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