[小冊子03：海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は、2016年1月以降の個人所得から適用されるシンガポール所得税の新税率について、その概要と影響額をお話します。
【概要】
シンガポールの所得税率は、日本と同様累進課税となっています。シンガポールの個人所得税の最高税率は20％でしたが、2016年1月以降の所得に対して（2017賦課年度より）最高税率は22%の新税率が適用されます。
詳細は、下記のシンガポール税務当局のウエブサイトをご覧ください。
https://www.iras.gov.sg/irashome/Individuals/Locals/Working-Out-Your-Taxes/Income-Tax-Rates/
参考資料として、Excelで税率を表にしてみました。青グラフのものが以前の税率、赤グラフのものが2016年1月以降の所得から適用される税率です。所得が160,000シンガポールドル（以下、SGDと表記。１ドル75円で換算して12,000,000円）までは改正前も後も同じ税率が適用されるため、税率改正による税額への影響はありません。
【影響額算定 その１】
シンガポール駐在員の平均年収 187,650ＳＧＤ（139,000ＵＳＤ、ＨＳＢＣ調べ）を例として、改正前の税額と改正後の税額で比較してみましょう。
○改正前
160,000シンガポールドルに対する税額 13,950 SGD +残り27,650SGDに対する税額（27,650×17％）4,700.05SGD＝合計18,650.05SGD
○改正後
160,000SGDに対する税額 13,950SGD+残り27,650SGDに対する税額（27,650×18％）4,977.00SGD＝合計18,927.00SGD
○増加額
18,927.00－18,650.05＝276.95SGD（1ドル75円換算で20,771円）
それほど税額がアップした印象を持たないかと思います。
【影響額算定 その２】
仮に260,000SGDの所得に対して改正前の税額と改正後の税額で比較してみましょう。
○改正前
200,000SGDに対する税額 20,750SGD+残り60,000SGDに対する税額（60,000×18％）10,800.00SGD＝合計31,550.00SGD
○改正後
240,000SGDに対する税額 28,750SGD+残り20,000SGDに対する税額（20,000×19.5％）3,900.00SGD＝合計32,650.00SGD
○増加額
32,650.00－31,550.00＝1,100.00SGD（1ドル75円換算で82,500円）
シンガポールと日本の往復航空券代が捻出できる金額程度、税額が増加します。
家賃を会社負担してもらい、かつ、教育費や車も会社から供与されている駐在員のように、所得の多い方は影響が出てくるように思います。
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