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学校法人の消費税の計算をくわしく説明

記事作成日2018/06/11 最終更新日2021/09/27

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学校法人は今月末が文部科学大臣又は都道府県知事に財務書類を提出する期限となっています。 学校法人ではさまざまな税制上の優遇措置が定められていますが、逆に税額が増えてしまう特例もあります。消費税の特定収入の特例計算がそれに該当します。

まず、消費税の基本的な計算方法から簡単に説明させて頂きます。

消費税の2つの調整計算

大まかなイメージとしては、受け取った消費税額から支払った消費税額等を控除してその差額を支払うこととなります。 ただしこの時、支払った消費税額(正式には課税仕入れ等の税額と呼びます)はそのまま控除する事ができず、①課税売上割合に基づく調整と、②特定収入に係る課税仕入れの特例計算の2つの調整計算が必要となります。

①課税売上割合に基づく調整計算

一括比例配分方式の場合、仕入控除税額は課税仕入れ等の税額×課税売上割合※1によって計算されます。この計算は通常の株式会社等でも必要となります。

※1課税売上割合 = 課税期間中の課税売上高(税抜)/課税期間中の総売上高(税抜)

この割合が高いほど控除できる消費税額が大きくなります。通常の株式会社であれば課税売上割合は95%以上となるケースが多く、支払った消費税額の大部分を控除する事ができます。

一方、学校法人の場合、授業料、入学金等は消費税が非課税の収入となり、課税売上割合は小さくなる傾向があります。例えば、課税売上割合が50%であれば、支払った消費税額の半分しか控除できないこととなります。

②特定収入に係る課税仕入れ等の税額の特例計算

この特例計算は特定収入(補助金や寄付金が主となります)を多く受け取っている学校法人や、宗教法人、公益法人等が対象となります。本来、消費税の計算方法が、受け取った消費税額から支払った消費税額を控除する形となっていますのは、消費税を二重に取ってしまう事を防ぐ為です。

この原則をふまえると学校法人等は補助金等の対価性のない収入(消費税不課税)を恒常的な財源としている事が多く、補助金等を使って支出した課税仕入れ等の税額を消費税の申告額から引く事は非合理的であると考えられています。その為、課税仕入れ等の税額×課税売上割合で算出された税額から、さらに特定収入の調整税額を引く事となります。

学校法人はこの調整計算が必須

学校法人では補助金等を受け取っている法人が大半をしめますので該当する学校法人はこの調整計算が必須となります。

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