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平成30年4月から小規模宅地等の特例が厳格化

記事作成日2018/05/15 最終更新日2018/05/21

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 平成30 年度税制改正により、小規模宅地等についての相続税の課税の特例の適用要件が厳格化されました。
 この特例は、一定の要件を満たす宅地等を相続した場合に、その宅地等の相続税評価額を5 割または8 割減額できる制度です。今回は、この制度のうち改正の対象となったいわゆる「家なき子特例」についてご紹介いたします。

◆「家なき子特例」とは?

 小規模宅地等の特例は、通常、被相続人と同居していないと要件を満たしませんが、「特定居住用宅地等」については、特例があります。つまり、マイホームを所有していない相続人が特定居住用宅地等を相続した場合に、一定の要件を満たしたときは、被相続人と同居していなくても相続税評価額を8 割減額することができるのです。

◆「家なき子」とは?

 改正前は、次の要件をすべて満たす場合に、「家なき子」としてこの規定の適用を受けることができました。
(1)被相続人に配偶者がいないこと。
(2)被相続人と同居していた相続人がいないこと。
(3)相続開始前3 年内に自分の持ち家に住んでいないこと。
(4)申告期限まで所有し続けること。

◆平成30 年改正による影響

 今回の改正により、要件が厳格化され、次に掲げる者を「家なき子」から除外しました。
(1) 相続開始前3 年以内に、その相続した者の3 親等内の親族等が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
(2) 相続開始時において居住している家屋が過去に自己所有であった者

 これにより、例えば次のようなケースが適用対象から除外されことになります。
【ケース1】
 遺言により、マイホームを持っていない孫(親と同居している)に遺贈した場合…(1)に該当するため不可
【ケース2】
 相続開始4 年前に相続人が子どもに贈与し、引き続きその住宅に居住していた場合…上記(2)に該当するため不可

 法律の抜け穴を利用した租税回避行為を徹底的に防止するために行われた今回の改正。今後、適用を受けることができるかどうかの正しい判断をするために、しっかり理解しておくことが重要です。
※ 平成30 年4 月1 日以後開始する相続について適用。

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