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ビットコイン(仮想通貨)に関する税務上の取扱い

記事作成日2017/12/14 最終更新日2018/01/05

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最近、テレビや新聞などでよく「ビットコイン」という言葉を見たり、聞いたりする機会が増えました。ビットコインとは、ひとことで言えば「仮想通貨」のことを言います。ビットコインは、円やドルと同じお金ですが、円やドルと違って紙幣や硬貨などの現物が存在するわけではありません。つまりビットコインは、現物にはない仮想の通貨(お金)のことを言います。今回はそんなビットコイン(仮想通貨)に関する税務上の取扱いについて説明したいと思います。

国税庁が8月下旬ごろに公表したタックスアンサー(No.1524ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係)では、ビットコインに関する取扱いが示されています。その内容は、ビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となり、その損益は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随する場合除き、原則として、雑所得に区分されるというものです。この取扱いでは、ビットコインについての取扱いは示されていましたが、ビットコイン以外の仮想通貨については示されておらず、他の仮想通貨もビットコインと同様に取扱うのかという疑問がありました。そのような中、国税庁は12月1日に平成29年分の確定申告の特集ページの開設に併せて、「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」を公表し、これによりビットコイン以外の仮想通貨についても取扱いが示されることとなりました。

所得税法の取扱い

所得区分と確定申告について

12月1日に公表された「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」において、「ビットコインをはじめとする仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要となります。」と取扱いが示されました。すなわち、事業所得者が事業用資産として仮想通貨を使用している場合等を除いて、サラリーマンの方などの給与所得者が仮想通貨を売却、使用することにより生じる利益については、雑所得に区分されることが明示されたことになります。
なお、確定申告については、給与所得以外の各種所得金額の合計額が20万円以下の場合には、確定申告をする必要はありせん。ただし、還付がある方については、確定申告が必要となります。

所得金額の計算方法

保有する仮想通貨を売却する際の所得金額は次の算式で計算されることになります。
売却価額 - 必要経費 = 所得金額

さらにこの必要経費については、次の算式で計算されます。
取得価額 ÷ 取得した数 × 支払った数 = 必要経費

つまり、ビットコインの場合には、1ビットコイン当たりの取得価額を算出し、支払ったビットコイン数を乗じて計算することになります。

例えば、10,000,000円(支払手数料を含む。)で5ビットコイン(1ビットコイン当たり2,000,000円)を購入し、後日1ビットコイン当たり2,500,000円(支払手数料を含む。)となったため、3ビットコイン売却したとした場合には、所得金額は次の算式で計算されることになります。
2,500,000円 × 3 - (10,000,000円 ÷ 5) × 3 =1,500,000円

この所得金額の計算方法については、売却した場合のみだけではなく、商品を購入する際や、保有する仮想通貨を他の仮想通貨に交換する際も同様の計算方法となります。また、1ビットコイン当たりの取得価額を算出する場合には、原則移動平均法により取得価額を算出することになります。なお、継続して適用することを要件として、総平均にて計算することも認められています。

損益通算について

所得税法では、不動産所得、事業所得、山林所得又は譲渡所得(総合課税されるものに限る)の各種所得金額が赤字になった場合には、その赤字の金額を一定の方法で他の黒字の金額から控除することができます。これを損益通算といいます。
仮想通貨の取引は、雑所得に該当しますので、取引により損失が生じた場合でも、損益通算することはできません。ただし他の雑所得の金額とは通算することは可能です。なお、仮想通貨の取引が事業所得に該当する場合には、損益通算の対象になります。

消費税法の取扱い

平成29年度税制改正において、仮想通貨に関する課税関係の見直しがされました。これにより、仮想通貨が今まで「モノ」として扱われていたものが、平成29年7月1日以降は、「支払手段」として位置付けされることになりました。
消費税法では、銀行券や小切手などの支払手段とされるものの譲渡については、非課税とされています。したがって、仮想通貨が支払手段として位置付けされたことにより、仮想通貨の購入、売買について消費税が非課税とされました。
仮想通貨の譲渡をした場合には、平成29年6月30日までは課税対象となりますが、平成29年7月1日以降は非課税となりますので注意が必要となります。

 

もうすぐ12月も終わり、確定申告の時期がやってまいります。仮想通貨は保有しているだけでは課税は生じませんが、売却や使用した際には注意が必要となります。確定申告が必要ではないか今一度確認してみてはいかがでしょうか。そして仮想通貨に限らず、確定申告が必要な方は早めに確定申告の準備をしましょう!

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