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スポーツイベント等のチケット払い戻し請求権の放棄について

記事作成日2020/06/16 最終更新日2021/05/21

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2020年5月25日に政府より発表された緊急事態宣言解除まで、新型コロナウイルス感染症の影響により、公私問わず大きく活動が制限されてきました。しかし、解除された現在でも「3密」を避ける「ウィズ コロナ」といった新しい生活様式が提唱され、今までの生活に戻れる確証のない日々が続いています。

そんな中、政府からの自粛要請を受けて、スポーツに限らず多くのイベントが中止になり、皆さんのなかにはチケットの払い戻しを考えている、という方も多いと思います。

そこで今回は、新型コロナウイルス感染症の影響でスポーツイベント等が中止されてしまった時に、そのチケットの払い戻しを受けないことを選択された方は、その金額分を 「寄附」とみなし、所得税/住民税の税優遇を受けられる制度についてお伝えします。

また後半には、イベント主催者の皆様がどのような申請をすれば該当イベントとして文部科学大臣によって認可されるかについてご説明します。ぜひご一読ください。

所得税/住民税 税優遇の流れと具体的なイメージ

この制度は、苦渋の決断で開催を中止等した文化芸術・スポーツイベントが数多くある中、アスリートやアーティストを応援したいという想いを支えるため創設されました。

寄附金控除までの流れ

①主催者⇔文化庁・スポーツ庁

主催者からの申請に基づき、文化庁・スポーツ庁が対象イベントを指定。
→現に中止等(中止・延期・規模縮小)されたイベントを幅広く対象とされます。
→対象イベントは、文化庁・スポーツ庁のHPに順次UPされます。

②主催者⇔参加者(払い戻しを受けないことを選択された方)

参加者が対象イベントの主催者に払い戻しを受けないことの連絡。
→主催者から、指定行事証明書払戻請求権放棄証明書を入手。

③参加者(払い戻しを受けないことを選択された方)

確定申告の際に、上記2点の証明書と共に申告(e-taxでの申告も可能です)。
寄附金として税優遇の対象となります

優遇内容のイメージ

例えば10,000円のチケット代金を払い戻さずに「寄附」した場合
↓   ↓   ↓
最大4,000円の減税

※具体的な減税額は、寄付された方の所得額や居住されている自治体によって異なります
※税額控除の場合、(対象チケット代金合計-2,000円)×40%(+住民税)の減税となります

(注) ※上記「-2,000円」は今回の特例寄附「以外の寄附(ふるさと納税等)」も含めた年間寄附総額に対して一回のみ適用されます。

(その他の留意点)

・令和2年2月1日~令和3年1月31日までに日本国内で開催予定だったものの、結果として中止等され、かつ、文化庁・スポーツ庁が指定したものが対象となります。ただし、不特定多数を対象としていないイベント(そもそも払戻しが受けられないイベント)は対象になりません。
・年間ごとに合計20万円までのチケット代金の寄附が、この制度による優遇の対象となります。
・住民税の税制優遇については、お住まいの自治体により指定イベントが異なりますのでご注意ください。

ここまで、税優遇を受ける方に向けてご説明しました。続いてはイベント主催者の皆様に向けて、文化庁・スポーツ庁から対象イベントとしての指定を受けるまでの一連の流れについてお伝えします。

イベント主催者向け申請フロー

申請フローは大きく分けて5つの工程があります。

①文化庁・スポーツ庁のHPに掲載されているガイドライン等をご覧いただきます。
必要記載事項、必要添付資料をご確認ください。

②申請フォームに必要記載事項を登録します(仮申請)。
仮登録後、主催者名・イベント名が公表されます。

③指定のアドレスに必要添付事項を送信します(本申請)。

④文化庁・スポーツ庁にて審査を行います(通常1~2週間程度)。

⑤文部科学大臣指定を行い、申請者に通知します。指定を決定された日に、指定リストと共にメールにてその旨のお知らせが来ます。
後日、郵送にて証明書が送られます(希望者にはPDFで写しを受け取ることができます)。

以上、チケット寄附税制の優遇を受ける個人側、イベント主催者側に分けて述べてきました。

チケットの払い戻しを考えられている方は、こういった制度が創設されましたので、社会貢献のためにこの制度の活用を考えられてもいいかもしれません。

税優遇についての情報収集

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ご不明点等ございましたら、ぜひお気軽にTOMA税理士法人までご連絡ください。

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