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貸倒損失の損金算入について

記事作成日2018/09/13 最終更新日2020/05/11

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 会社が有する金銭債権が回収不能となった場合には、会計上、貸倒損失として計上します。
 ただし、法人税法上では、貸倒損失には要件があり、要件を満たさないと貸倒損失として損金の額に算入することは出来ません。
 今回は、法人税法上の貸倒損失の3つの要件についてご説明致します。

貸倒損失の要件


1.金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れで、次の事実が発生した場合には、その事実の発生した日の属する事業年度の貸倒れとして損金の額に算入されまることとなります。
 (1) 会社更生法等による更生計画認可の決定又は民事再生法による再生計画認可の決定により切り捨てられた金額

 (2) 会社法に規定する特別精算に係る協定の認可の決定により切り捨てられた金額
 (3) 法令の規定による整理手続きによらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった金額
  イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
  ロ 行政機関や金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
 (4) 債務者の債務超過が相当期間継続し、その債権の回収ができないと認められる場合において、その債務者に対して行なった書面による債務免除額

 1.の要件は、法的な事由により、債権を切り捨てないといけない場合や第三者同士の話し合いで切り捨て額を決めた場合などが該当します。
 なお、(4)については、債務超過などが生じていない場合に書面による債務免除を行なった場合には、その貸倒損失は計上した会社の寄付金として課税されることとなります。これは、回収できないと認められる相当の理由がなく、債務免除しているものとして、実質的に債務者に対する寄付金として認定されるためです。
 1.は、会社が貸倒損失として経理することを要件としていません。
 したがって、会社が貸倒損失として経理しているかどうかにかかわらず、強制的に損金の額に算入されます。


2.債務者の資産状況や支払能力等からみてその債権の全額が回収できないことが明らかになった場合、その明らかになった事業年度において貸倒損失として経理したときは損金の額に算入することができます。ただし、担保物がある場合には処分した後でなければ貸倒損失として損金経理をすることはできません。

 この要件の「債務者の資産状況や支払能力等からみてその債権の全額が回収できないことが明らかになった場合」とは、債務者の破産や行方不明などの事由により回収の見込みがない場合が該当します。
 なお、2.は会社がその債権の全額を貸倒損失として経理することが必要です。
 つまり、その債権の一部を貸倒損失として経理していた場合や貸倒損失として経理していない場合には損金の額に算入されないこととなるので注意が必要です。


3.債務者について次の事実が生じた場合、売掛債権(貸付金等の債権を除く。)について、その売掛債権から備忘価額1円を控除した残額を貸倒損失として経理した場合には損金の額に算入することができます。

 (1)債務者との取引停止後1年以上経過した場合(その売掛債権について担保物がある場合には除く。)
 (2)同一地域の債務者に対して有する売掛債権の総額がその取立てに要する旅費等の費用に満たない場合において、その債務者に対し支払いの督促をしたにもかかわらず弁済がないとき

 この要件の対象となる債権は、営業活動から生じた売掛金などの売掛債権に限定されます。したがって、貸付金や立替金などの営業活動以外から生じた金銭債権については、対象となる債権から除外されます。
 (1)の内容の「債務者との取引停止後1年以上経過した場合」には、債務者と最後に取引をした日、債務者からの最後の弁済期又は最後の弁済時のいずれか最も遅い日から1年以上経過した場合を指しています。
 (2)の内容は、会社が管理している地域区分に応じ、その同一地域の売掛債権の総額が取立費用より少ない場合で、支払いの督促をした場合を指します。
 この3.は(1)又は(2)を満たした場合において、対象売掛債権から1円を控除した金額を会計上、貸倒損失として計上することが必要です。備忘価額1円については、貸借対照表に計上されることとなります。 

 今回は法人税法上の貸倒損失の要件について説明しました。債務者から回収できないからといって全てが貸倒損失として即座に費用に落とせるわけではないので注意が必要です。貸倒損失として計上する場合には計上できるかどうかを要件と照らし合わせて判断しましょう。

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