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二世帯住宅の敷地にかかる小規模宅地特例

記事作成日2016/06/10 最終更新日2016/06/10

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Q 同一敷地内に二世帯住宅と2棟別の住宅、税務上どちらが有利ですか?

母の所有する土地(508㎡)の上に、「二世帯住宅」か、「母の自宅と娘の自宅(計2棟)」のいずれかの建築を検討する場合、考慮すべき税務上の違いはありますか?
(家族構成は母・娘の2人のみで、生計は別。またいずれの場合も、持分は土地・建物ともに母100%とします。)

A 相続時に小規模宅地等の特例が可能なため、二世帯住宅の方が有利

区分登記をしなければ、二世帯住宅の土地は、相続の際に、小規模宅地等の特例を330㎡まで受けられるため、二世帯住宅の方が有利になることが考えられます。

小規模宅地の特例とは

相続等により被相続人の居住用宅地を取得した人のうちに、次のいずれかに該当する人がいる場合、相続税の課税価格の計算上、その宅地(「特定居住用宅地」といいます。)の330㎡までの部分について、評価額の80%相当額を減額できます。
これを「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」といいます。

  1. その被相続人の配偶者
  2. 被相続人の居住用宅地を、同居していた親族が取得した場合
    ・・・相続開始時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつその宅地を所有している人
  3. 被相続人の居住用宅地を、同居していない親族が取得した場合
    ・・・相続開始前3年以内に自己又は自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがなく(いわゆる「家なき子」)、かつその宅地を申告期限まで引き続き所有している人(相続開始の直前において配偶者や②に該当する同居親族がいない場合に限ります。また、相続開始時に日本国内に住所がなく、かつ日本国籍を有しない者は除かれます。)
  4. 被相続人と生計を一にする親族の居住用宅地をその親族が取得した場合
    ・・・相続開始の直前から申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつその宅地等を所有している人

平成25年度の税制改正により、いわゆる二世帯住宅の敷地の用に供されている宅地等については、構造上区分された住居であっても、区分所有建物登記がされている建物を除き、その敷地全体についてこの特例の適用が出来るようになりました。

母と娘の自宅を別々に建てた場合

一方、母と娘の自宅を別々に建築する場合は、この宅地のうち母の自宅に対応する部分についてのみこの特例の適用が受けられる可能性がありますが(娘が上記3.に当てはまる場合)、面積で比較した場合、上限330㎡まで適用を受けられる二世帯住宅の方が有利となることが想定されます。

《参考》
条文:措置法69条の4第1項、第3項第2号
国税庁HP

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