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事業承継は親族内か親族外か それぞれのメリット・デメリットとは

記事作成日2017/09/19 最終更新日2017/09/19

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27 業承継は親族内か親族外か それぞれのメリット・デメリットとは事業の後継者は「親族内」と「親族外」に大別できます。中小企業では、親族(息子もしくは娘婿など)への事業承継が一般的でしたが、それが難しい経営者も多くいます。

実際問題として、親族への事業承継が最適かと言えば、必ずしもそうではありません。親族内・親族外への事業承継のそれぞれにメリットとデメリットがありますから、まずはその内容を把握することが必要です。

事業承継を親族内で行うメリット・デメリット

事業承継を親族内で行うメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

・事業に関わる関係者からは、比較的受け入れられやすい承継方法である
・後継者の早期決定、早期教育、長期的な準備が可能
・経営と所有が分離することを防ぐ効果が期待できる(自社株や事業用資産を、相続などで後継者親族へと移すことができる)

一方、事業承継を親族内で行うデメリットとしては、以下の4点が挙げられます。

・ 相続人が複数いる場合、後継者となる相続人へ経営権を集中させることが難しい場合もある
・ 後継者以外の相続人(社外の人材など)がいる場合、財産分配の公平さに気を配らなくてはならない
・息子、娘婿などの候補者がいても、能力的な問題で承継が不安(次期社長としての能力を習得するまでに時間がかかり事業承継が遅れる可能性も)
・息子、娘婿などの候補者に、そもそも事業を受け継ぐ意志がない(無理に継がせた場合、会社の経営が傾く可能性も)

親族内で事業承継をスムーズに進めるには

幸運にも、親族にふさわしい後継者がいる場合は、日頃からきちんとコミュニケーションを取っておくことが大切です。早期より適切な教育を実施し、充分な準備期間を設けましょう。

例えば社内教育の例では「各部門へのローテーション」「権限委譲で責任ある地位へ置く」などの方法があります。もちろん、現経営者・経営陣がノウハウやアドバイスを与え、指導することも効果的です。また、子会社・関連会社で働かせたり、あるいは他社で働かせるなどの社外教育も、学びのほか人脈の形成にも大きく役立つでしょう。

このようにして、後継者へのスムーズな経営権集中を目指したいですが、相続人が複数の場合、相続紛争が起こる可能性もあります。困ったときは専門家などを上手に活用してトラブルを回避してください。この他、事業承継による贈与税・相続税がきちんと支払えるのかも、事前に確認すべき点です。

事業承継を親族外で行うメリット・デメリット

事業承継を親族外で行う場合のメリットとしては、「社内外より後継者候補を広く探すことができる」という点が挙げられます。優秀な、あるいは信頼できる従業員・役員への承継であれば、社員の想いや高い意識を生かすことが期待できます。経営の一体性もキープしやすいため、事業承継による混乱も比較的起きにくいでしょう。

M&Aなど、第三者への承継であれば、企業のさらなる発展が期待できるケースもあります。中小企業のM&Aの方法として、一般的な株式譲渡ならば表面上の大きな変化がないため、企業価値に傷が付きにくいでしょう。
株主を変え、次代への企業価値の承継・発展が期待できます。

一方、事業承継を親族外で行うときのデメリットとしては、「事業承継がスムーズに進まない可能性」が挙げられます。株式取得の資金力が不足していたり、場合によっては先方に経営の意志・意欲が欠如していることもあり得ます。

優秀な、あるいは信頼できる従業員・役員への承継においては、経営の意志・意欲が欠如していることはあまりないでしょう。ただし、自社株の買い取りが可能な資金力があるかという点は、大きな妨げとなり得ます。この他、これまでの取引先の承継、さらには個人保証の変更が必要な場合、金融機関の理解が受けられるかも問題となる場合があります。

また、M&Aなど、第三者への承継の場合、そもそも自社の付加価値や魅力を認めてもらえなければ成立しません。「売りたくてもそもそも相手がいない」というケースがあり得ることも、デメリットの1つと言えるでしょう。

親族外での事業承継の進め方

事業承継の進め方は、「事業承継計画の立案」と「具体的対策の実行」の2ステップに大別できます。事業承継計画の立案は、親族内・親族外を問わず必要ですが、具体的対策の実行の方法は、以下の通りそれぞれ異なります。

従業員・役員への承継や外部からの雇い入れのケース

1.関係者から理解を得る
2.後継者を教育する
3.株式・財産の分配をする
4.個人保証や担保の処理

M&Aのケース

1.M&Aへの理解を深める
2.仲介機関と相談をする
3.会社売却価格の算定
4.M&A開始
5.M&A後の経営統合

どのような事業承継を選択するかによって、次代の経営者や従業員の未来も左右されます。後継候補の親族がいる場合でも、1度は親族外の事業承継についても検討してみると良いでしょう。あらゆる可能性を排除せず、最良の事業承継を模索してください。

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