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配偶者の相続税額の軽減

記事作成日2018/02/16 最終更新日2018/09/18

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年末調整や確定申告時に適用できる所得税法上の配偶者控除のように相続税法上にも配偶者に関する規定がございます。相続税法上の規定のうち今回は配偶者の相続税額の軽減についてお話していきたいと思います。配偶者の相続税額の軽減による規定の適用を受けた場合、最低でも1億6千万円までの控除を受けることができます。

規定の内容

被相続人の配偶者が相続又は遺贈により財産を取得した場合で、次の(1)・(2)のいずれかであれば配偶者に係る相続税額は0となります。

(1)被相続人の配偶者が相続又は遺贈により取得した財産の課税価格が全ての者に係る 相続税の課税価格の合計額に配偶者の法定相続分を乗じて計算した金額以下であるとき

(2)上記(1)の金額を超えていた場合でもその金額が1億6千万円以下であるとき

【具体例(1)の場合】

仮定:配偶者の法定相続分 1/2
配偶者の課税価格 1億円
全ての者に係る相続税の課税価格の合計額 2億2千万円

2億2千万円×1/2=1億1千万円≧1億円  ∴ 相続税額0円

【具体例(2)の場合】

仮定:配偶者の法定相続分 1/2
配偶者の課税価格 1億円
全ての者に係る相続税の課税価格の合計額 1億8千万円

1億8千万円×1/2=9千万円<1億円
1億円≦1億6千万円           ∴ 相続税額0円

適用要件

上記の配偶者の相続税額の軽減を受けるための要件は以下の2つがあります。

(1)被相続人との間で婚姻届が出されている法律上の配偶者

(2)被相続人から相続又は遺贈により財産を取得し、相続税の申告書等に一定の事項を記載し、かつ、戸籍謄本と遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなどの一定の書類を添付している場合

未分割の遺産がある場合

申告期限までに分割されていない財産がある場合には、その分割さていない財産については、配偶者の課税価格に含まれないものとなります。
しかし、申告期限から3年以内にその分割されていない財産が分割された場合には、その分割された財産を含めることができます。

最後に

配偶者の相続税額の軽減は使い勝手が良いようにも思えますが、注意点があります。
一次相続時に多くの相続財産を配偶者に相続させ、配偶者の相続税額の軽減を適用して相続税の負担を小さくすると配偶者の財産が多くなり、かつ、二次相続では配偶者の相続税額の軽減が適用できないので、一次相続と二次相続をトータルで考えたときに相続税の負担が大きくなる可能性があります。
税理士等の専門家と相談して二次相続での税額負担も考慮した場合の一次相続時の配偶者の相続割合を考えることが重要になります。

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