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節税目的の養子縁組は有効?

記事作成日2017/06/02 最終更新日2017/06/02

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養子縁組によるメリット

養子縁組を行うことには、以下のような相続税の節税効果が考えられます。

  1. 法定相続人の数が増えることにより、
    ・基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数
    ・生命保険金・死亡退職金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)が増える。
  2. 相続税の総額が引き下げられる。

※ただし、代襲相続人以外の孫を養子にした場合は、孫の相続税に2割加算されます。

また、相続税法上は法定相続人の数に入れられる養子の数には制限があります。(参照:相続人の中に養子がいる場合の取扱い

節税目的の養子縁組の有効性に関する最高裁判決

このような相続税の節税目的で行われた養子縁組の有効性を巡る事件について、平成29年1月31日、最高裁は「有効」とする判決を下しました。
事件の概要は以下のとおり。

  1. 被相続人の子は長男、長女、次女の3人。
  2. 相続税の節税効果について税理士等から説明を受けた被相続人は、長男の子を被相続人の養子とする養子縁組の届出を提出。
  3. 長女・次女が長男の子に対し、本件養子縁組は縁組の意思を欠くとして、その無効確認を求めた。

原審では、この養子縁組は専ら相続税の節税目的で行われたものであり、民法802条1号の「当事者間に縁組をする意思がないとき」にあたるとして、無効と判断されていました。

それに対し最高裁では、相続税の節税のために養子縁組をする場合でも、直ちに「当事者間に縁組をする意思がないとき」にあたるとはできないとされ、縁組をする意思がないことをうかがわせる事情もないことから、養子縁組は有効と判断されました。

ただし、この判決はあくまで民法上の養子縁組の有効性を判断したものです。相続税法上は「養子を法定相続人の数に含めることで相続税を不当に減少されると認められる場合には、その養子の数を含めずに計算する」と規定されておりますので、これまでどおり注意する必要があります。

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