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グループ会社の青色欠損金を引き継いで節税できるかも?

記事作成日2017/04/21 最終更新日2017/04/21

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法人税法には、青色欠損金の繰越控除という自社で発生した過去の損失と当期の利益の通算を可能にする制度があります。また、他の法人の青色欠損金を自社で引継ぎ、繰越控除を適用できるケースがあります。今回は、合併を利用したグループ会社の青色欠損金の引継ぎについて説明します。

合併によるグループ会社の欠損金の引継ぎ

合併によりグループ会社の青色欠損金を引継ぐためには、適格要件と支配継続要件の2つ要件を満たす必要があります。

法人税法上の合併には大きく分けて非適格合併と適格合併の2つがあります。法人税法の基本的な考え方は、法人が資産を他の法人に譲渡した場合には、時価譲渡により譲渡損益を計上することが原則となっています。これは、合併の場合も同様であり、合併法人が受け入れる資産・負債は時価譲渡として、時価によって受け入れ、被合併法人はその譲渡損益を認識します。この原則的な取扱いを非適格合併といいます。

しかしながら、譲渡損益に対して課税が行われると、法人の合併を含む組織再編行為を阻害することとなるため、一定の要件を満たした場合には、帳簿価額による引継ぎを認め、譲渡損益に対する課税が繰り延べられます。これを適格合併といいます。

支配継続要件については、「合併法人の合併事業年度開始の日の5年前の日、被合併法人の設立の日、合併法人の設立の日のうち、最も遅い日から合併の日まで継続して支配関係(50%超の株式等の保有関係)があること」が必要とされています。

この支配継続要件は欠損金の引継ぎのみを目的とした租税回避行為に一定の歯止めを掛けるために設けられた要件です。

したがって、適格合併であっても、上記の支配継続要件を満たさない場合には、支配関係が生じた事業年度前に発生した被合併法人の青色欠損金の引継ぎについて制限を受ける可能性があります。(支配関係が生じた事業年度以後に発生した被合併法人の青色欠損金については引き継ぐことが可能です。)

合併法人の保有する青色欠損金についても合併後に使用する場合には同様の規定があり、上記の要件を満たす必要があります。

すなわち、一定の支配関係がない場合には、支配関係が生じた事業年度前に発生した合併法人の青色欠損金についても使用することができなくなります。

まとめ

グループ会社の欠損金の引継ぎについては適格要件と支配継続要件の2つの要件を満たす必要があります。この要件を満たすことにより、被合併法人の青色欠損金を引継ぐことができます。実務上、グループ会社の欠損金の引継ぎ及び使用については、適格要件及び支配継続要件を確認することが非常に重要です。欠損金の引継ぎについては、条件関係が複雑なので、事前にご相談下さい。

次回は別の要件による青色欠損金の引継ぎについて説明をしたいと思います。

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