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結婚・子育て資金一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税

記事作成日2017/07/14 最終更新日2017/07/14

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内容

平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に20歳以上50歳未満の方が結婚・子育て資金に充てるために、両親、祖父母などの直系尊属から、

  1. 信託受益権を取得した場合
  2. 贈与により取得した金銭を銀行等に預金若しくは貯金として預入をした場合
  3. 贈与により取得した金銭等で証券会社等において有価証券を購入した場合

には、信託受益権、金銭等の価額のうち1,000万円までの金額については贈与税が課税価格に算入されません。

この特例の適用を受けるには、結婚・子育て資金非課税申告書を

  1. その適用を受けようとする受贈者(結婚・子育て資金を貰った人)が、
  2. その結婚・子育資金非課税申告書に記載した取扱金融機関(銀行・証券会社・信託会社)の営業所を経由して、
  3. 信託がされる日、預金若しくは貯金として預入をする日又は有価証券を購入する日迄

に納税地の税務署に提出しなければなりません。

結婚・子育て資金の範囲

結婚・子育て資金とは、下記の1・2に掲げる費用を指します。

1.結婚に際して支出する費用 (300万円まで)

  • ・結婚披露宴を含む、婚姻に係る婚礼の為の費用で一定のもの
    ― 結納式、指輪、新婚旅行代は含みません。
  • ・結婚に伴う、引越し、家賃などの費用で一定のもの
    - 駐車場代、家具・家電の購入費用は含みません。

2.妊娠、出産及び育児に要する費用

  • ・受贈者(結婚・子育て資金を貰った人)、又はその配偶者の不妊治療、妊娠中に要する費用で一定のもの
    - 治療・通院のための交通費は含みません。
  • ・出産に係る分娩費、産後ケア、その他の費用で一定のもの
    ― 保険適用の有無、出産育児一時金などの公的助成を受けているかどうかに関係なく、実際に病院に支払った金額が対象となる。
  • ・小学校就学前の子の医療に要する費用で一定のもの
    - 保険適用の有無、出産育児一時金などの公的助成を受けているかどうかに関係なく、実際に病院に支払った金額が対象となる。
  • ・幼稚園、保育園等に支払う入園料、保育料などの費用で一定のもの

上記の費用であることを確認するため、支払に充てた領収書等を期日までに、結婚・子育て資金非課税申告書を提出した、取扱金融機関(銀行・証券会社・信託会社)へ提出します。

領収書については、TOMAの承継ブログ2017年6月16日付、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税2」の<注意点>欄をご参照ください。

贈与者が死亡したとき

契約期間中に贈与者(両親、祖父)が死亡した場合には、非課税拠出額(贈与税の非課税となった金額)から死亡した時までに結婚・子育て資金の支払いに充てた金額を控除した残額(管理残額)は、贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、相続税の課税価格に加算されます。

もともと夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養親族から生活費、教育費に充てるために取得した財産で通常必要と認められるものは贈与税が課税されないので、あえてこの特例の贈与を使う必要は無いと思われる方も多いようです。

メリットとしては、贈与者が死亡した場合に、相続等で取得したものとみなされる管理残額に対し、次のことがあげられます。

1.管理残額に対応する部分の相続税は2割加算の対象にならない。

通常亡くなった方の一親等の血族、または配偶者以外の方が相続財産を取得したときは算出相続税額の2割が加算されます。そのため、祖父母から孫(二親等の血族)に贈与した場合に有効になります。

2.管理残額以外の相続財産を相続又は遺贈により取得しなかった場合には、生前贈与加算がされない。

相続開始前3年以内に贈与により取得した財産は相続税の課税価格に加算されますが、結婚・子育て資金以外に相続財産をもらっていなければ、たとえ相続開始前3年以内に管理財産以外の財産を贈与により受けていても、生前贈与加算はされません。

3.管理残額を遺言が無くても遺贈できる。

財産を誰に残すかは、遺言に明記されていなければ、相続人以外に財産を残すことはできません。この特例を使うことにより遺言がなくても祖父母から孫に管理残額を残すことができるのです。

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