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事業承継で贈与税が払えない場合の対策

記事作成日2017/06/29 最終更新日2017/06/30

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1.贈与税が払えない

先代の経営者が後継者に事業を承継する際、会社の経営権(代表取締役)を譲るだけでなく、株式も承継するのが理想的です。

ところが、優良な非上場企業の株価というものは想定外に高くなってしまっていることがあります。そういった場合、後継者が贈与税を払えないことが多々起こり得ます。納税資金が足りない訳です。

2.株式の異動の方法

先代経営者から後継者に株式を移す方法には一般的に、贈与と譲渡があります。贈与は先代経営者から後継者に株式をタダで譲ることを言います。譲渡は、先代経営者が後継者に株式を売却することです。他にも先代経営者の死亡に伴う相続があります。

3.贈与税対策

贈与によったときは、後継者が贈与を受けた株式の額に応じ、贈与税を納めることになりますが、この贈与税が多額となった場合、後継者には税負担が重くのしかかります。この税負担を軽減するための対策には次の2つが考えられます。

株価を下げて、贈与税を下げる。

贈与税の支払いを繰り延べる。

株価を下げることができれば、贈与される財産の総額が減り、それに課される贈与税額も減らすことができます。しかし、これには限度があります。もともと高くなってしまっている株価を無理に下げることは困難なのです。

そこで、払うべき贈与税額を将来に繰り延べるという方法があります。いわゆる相続時精算課税制度を用いれば、贈与の時には贈与税を納めることがなく、相続が起こるときまでその納税を繰り延べることができます。

しかし、相続時精算課税制度にも限度があります。※

※2,500万円を越える部分については一律20%の贈与税が課税される。

4.贈与税の納税猶予を活用する

そこで活用を検討したいのが、贈与税の納税猶予です。これは、一定の要件を満たす場合には、後継者が先代経営者から贈与により取得した株式にかかる贈与税額のうち一定部分の納税が猶予されるというものです。

また、相続が起こった場合には贈与税の納税猶予額は免除され、引き続き相続税の納税猶予に切り替えることにより、事業が継続し、要件が満たされる限りにおいては納めるべき税額の一定額が猶予され続けることもできるのです。

平成29年度の税制改正により、この納税猶予の活用がより容易になりました。事業承継の手段の一つとして活用をご検討ください。

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